老人奴隷 ザール

第1話 最初で最後の......






「爺や......どこにいるの?」


「始まりの『負』は果ての奥底にある......」




「爺や......あなたはどこに行ってしまったのですか?」


「灰の居心の最奥......果てに、それはある。」




「爺や。どこにいるのですか?」


「それを持ち帰らねばならない。」




「爺や。私の傍に帰ってきて。」


「灰の世界の最深......果ての底に、それはある。」




「爺や。どうか、私のところに帰ってきて......」


「私は持ち帰らなければならない。『純黒』の顔料を。」




「爺や。どうか......私の問いに答えて。」


「純黒の円輪......そこに絶底はいる。」




「爺や......どうか、ひとりにしないで。」


「そこにはある。真の純黒。」




「どうして答えてくれないの? 爺や、なぜ傍にいないの?」


「世界で最も黒いもの......暗黒にさえ、穴を開ける。」




「お願い......」


「私は帰れない。だが、持ち帰らねばならない。」




「どうか......また私に......」


「私は朽ち果てるであろう......そして誰からも忘れられる。」




「爺......いったいどこに?」


「お嬢様の世界のために。」

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