エンディング

「お前らどけ!」


 俺たちの行く手を阻み抑えようとする妖怪たち。押し退けて通ろうとするが、数が多く身動きが取れなくなってきた。


 このままじゃ不味い…!


「どうか私の手を取ってくださ―」

「おっと、嫌がってるのに無理強いはいけないな」


 グリドが人体模型を一本背負いで放り投げた。


「ぐ!?戦士殿、何を…!?おやめください!」

「こういうのはお互いの気持ちが大事だろ?それでも強引にやるってなら俺が相手になってやろう」


 足払いをして転ばせ、投げ飛ばしたりと俺たちを抑えようとしていた連中を払い除ける。


「二人とも大丈夫か?」


 貴族なのでこの国のお偉いさんたちだとは思うが、人体模型共々王国の住民をグリドは躊躇なく蹴散らしていく。


 貴族を投げ飛ばすなんてことをしたから罰を受けるかもしれないのに、俺たちを助けるのを躊躇わなかった。


「流石世界一かっこいいペンギン兄貴!」

「ぺんぎん?よく分からないが、ここは俺が抑えてやる」

「ありがとうございます!」


 相変わらず男気溢れるいい人だ。

 見た目がペンギンでなければ完璧だったのに。


 抑えてくれている内に光の渦へ行こうするが、姫が執拗に俺の腕を掴んで離さない。


「いい加減離してくれ!」

「離しません!断ると言うのなら王国軍の力を持って貴方を――!」

「駄目ですよ王女様。婚姻とは永遠の愛を神に誓うもの。権力で迫るのはいけないことです」

「きゃあ!?」


 グリドに続き、エリアスも俺たちを助けてくれた。


 しかし、今度は首だけでなく胴体も伸び、蛇の如く姫や騎士たちを巻き付いて締め上げていた。


 更に腕や舌も伸びて俺たちの行く手を遮ろうとした者たちも絡め捕っていく。

 これも間違いなくモンスターの使う技であり、絵面が大変なことになっていた。

 もはや完全に化け物である……。


「今の内に行ってください!」

「はい!」


 見た目はアレだけど二人とも本当に頼りになる!

 理亜を落とさない様に注意して駆け出す。


「おのれぇえ!逃がさんぞ栗寺ぁああああああ!!」


 ブニング王が鬼の形相で叫んでいた。


 もの凄い怒っている!?

 慌てて光の渦に飛び込む。


「グリドさん!エリアスさん!今までありがとうございました!」

「あ、ありがとうございました!」


 最後に理亜と一緒にグリドとエリアスにお礼を言う。


「おう!達者でな!」

「貴方たちの未来に祝福をお祈り致します!」


 飛び込む直前に二人の声が聞こえた。


 理亜を抱きかかえながら光の渦に入ると、無重力空間に放り込まれた様な浮遊感がした。


 地面はなく足が宙に浮き、どちらが上か下かも分からなくなる。


 視界が白く覆われ、徐々に感覚が薄れていく。


 しかし、怖さはなく、どこか温かさに包まれていく感じがした。


 体の感覚が完全に無くなり、意識が遠のく。


 目を閉じると、ふと声が聞こえた。








『サンプルNo.001 ゲームクリア!』


 ……ゲームタイトルすら設定してなかったのかよ。

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