第二関門
次の部屋に入ると中は大きな坂になっていた。俺たちがいる場所が低地になっており、高台の方には恐らく次に進むためのものだろう扉が見え、高台の天上には大きな穴が開いていた。坂の下にはさっきのコースと同じく、大きな穴が開いている。
俺たちが中に入り、坂道を登ろうとするとアナウンスが流れる。
『続いてのアトラクションは――『ねこねこパラダイス』です!』
「え……、ね…こ……?」
実況が言い終わるやいなや、天上の穴から何かが飛び出してきた。
待て、この世界の猫ってまさか……!
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ」
最初に出て来たのはぶるぶると振動している巨大な猫だった。そいつは携帯電話のバイブレーションの様に小刻みに震えている全長が二メートルはあろう化け猫だった。
その他にも顔が背中や尻についている猫や体が捻じれた猫、顔が二つ以上ある猫に仰向けに滑って移動してくる猫がこちらに押し寄せて来た。
「にゃー!」
「みゃー!」
「なんだこの妖怪共!?」
気味の悪いナマモノたちが大挙して来る。
この世界の猫バグり過ぎだろ!?
数が多く、このままでは坂の下まで押し出されそうだった。
「化け物共が!こうなったら魔法で焼き尽くしてやる!」
「落ち着けヒヅキ!流石にただの猫を相手に虐殺は不味い!」
魔法で一掃してやろうとした俺をグリドが止めてくる。
確かに普通の猫だったら魔法で薙ぎ払おうとか思わない。だが、グリドがただの猫とか言っているが、押し寄せてくる連中はどう見ても妖怪の類である。
俺からしたら魔物と大して差がないんだが!?
「みにゃあ!」
カサカサと、まるで黒光りするアレの様に高速移動してくる気持ちの悪い動きをしたこげ茶色の猫が俺に直撃した。
「ごふっ!?」
鳩尾にクリーンヒットし、息が詰まる。
衝撃で後ろに吹き飛ばされ、すり鉢状の穴に押し込まれた。
「日月くん!?きゃっ!?」
「うお!?」
「皆さんだいじょう――、ああ!?」
俺以外の三人も妖怪たちに押し出されたのか、続けざまに穴に落ちてきた。
「なにがパラダイスだよ…!化け猫地獄の間違いだろ!!」
「言ってる場合!?」
穴はウォータースライダーの様に筒状の道になっていた。中は滑り易い素材でできているのか、踏ん張ることができない。
ぐねぐねとした筒状の道を勢いよく滑る。どこまで続くんだと思っていたら、滑り落ちる先に光が見えた。
「ぐえっ!」
「きゃあ!」
そのまま勢い良く外へと排出される。
一瞬の浮遊感を感じ、直ぐに硬い地面に投げ出された。
なんなんだと辺りを見ると、見え憶えのある水玉模様が描かれたファンシーな扉があった。
どうやらダンジョンの入口に戻されたらしい。
『惜しかったですねぇ。スタート地点からのやり直しとなります』
俺たちがへたり込んで目を回していると、実況の連中が言う。
『もう一回遊べるぞ!』
「やかましいわ!!」
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