四人目(1)
準備を済ませてウエストタウンの町を出て廃村に向かう道中、ボロボロで今にも崩れそうな教会が見えてきた。
「もしかしてあの教会は……」
あの廃教会には四人目の仲間であるシスターがいる。
そのシスターは聖職者として廃村に住み着くアンデッドたちを浄化する使命があり、第二のボスを倒す為に仲間になるという設定だったはずだ。
「教会がどうかしたの?」
千歳――理亜が足を止めて俺を見る。
「えっと、実はさっきの町であの教会に腕の立つ有名な聖職者がいるって話を聞いてな」
グリドのときと同じく、理亜には聞いた話だと誤魔化した。
少し申し訳ないが、説明できないのでこう言うしかない。
「廃村にいる魔王軍の幹部はアンデッド系の魔物だったよな?討伐の協力を依頼してみるか?シスターならアンデッドに有効な手立てを持っているはずだ」
グリドが良いタイミングで話を振ってくる。
「そうですね。聖職者はアンデッド系の魔物に有効な魔法が得意だって聞きましたから。もしかしたら、手伝ってくれるかもしれません」
もしかしたらと言ったが、ゲームと同じ流れなら仲間になってくれるはずだ。
……それにしても、聖職者なのに魔法が使えるっておかしな話だよな。
現実だったら排斥する立場の人間だ。リアルの中世ヨーロッパなら魔女狩りの対象だろうに。
扉が外れてしまっている教会に足を踏み入れると、中は面影がない程に内装が朽ち果てている。小さな廃教会は今にも崩れ落ちてしまいそうな程だった。
建物奥の中央部、ヒビ割れて崩れてしまっている神様だと思われる石像の前に、跪いて祈りを捧げている白い修道服を着た金髪の女性がいる。
穴が開いた天井から光が差し込み、プラチナブロンドの髪に反射して輝く。
一枚の絵になりそうな幻想的な光景だった。
その女性は教会に入って来た俺たちに気が付いたのか、立ち上がってこちらに振り向く。
「こんにちは」
艶のある長い金髪に青色の瞳をした、二十代くらいの綺麗な女性が微笑み掛けてくる。
「――――……………………………」
声を出すのも忘れ、思わずその美女を凝視してしまう。
「いや、露骨にじろじろ見過ぎでしょ」
俺の反応に理亜がなにやら不躾だと言いたいらしいが――、
「良かった…!普通だっ…!」
俺はシスターを見てまともだと安心していただけである。
ペンギンになってないし、テクスチャがおかしくもなってない!動作も普通で声も見た目通り自然だ!
これでシスターも変になっていたらどうしようかと思っていた。
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