町へ
「『ファイヤーアロー』!!」
最初のダンジョンを目指す道中、俺たちはモンスターを相手に魔法を試していた。
千歳が魔法の名前を叫ぶと、杖の先端から三十センチぐらいの細長い火の塊が飛び出す。
その炎は空中を真っ直ぐ飛び、黄緑色で半透明のゼリー状の魔物――『スライム』に命中して爆発を起こしす。
魔法はスライムの弱点らしく、弾け飛んで黒い霧になって消えた。
このスライムという魔物にはゼリー状の身体にコアというものがあり、そこを潰せば簡単に倒せると王城の騎士が言っていたが本当らしい。
「おお!これが魔法か!」
「すごい!本当に出たよ!」
初めて魔法を使ってみたが、ファンタジー世界らしいことに俺たちは感動していた。
今まで、全く似合わないのに勇者と呼ばれたり、おかしなゲームの住人に遭遇していたため、やっと良い意味でファンタジーの体験ができて気分が上がっていた。
倒したスライムも変なナマモノではなく、おかしなところが無いちゃんとした魔物だったのも良かった。
出てくるもの全部が魔物とすら呼べない異形の物体だったら、頭がおかしくなりそうだからな……。
それにしても魔物を倒すと経験値とか手に入るのだろうか?一応ジャンルはアクションRPGで魔物を倒してレベルアップとかあったが、現実のような世界になっているため、強くなるシステムとかあるのか分からない。
正直、何かが変わったような感覚はない。
その後も何度か魔物との軽い戦闘があったが問題なく倒すことができ、火竜の住む洞窟の近くにある町へとたどり着いた。
入口の横にはこの町の名前であろう文字が書かれた木の看板が立っていた。見たこともない文字で書かれていたが、何故か読むことできる。
「えっと、これは『ボルカニックイラプション』って書かれているのかな?すごい名前の町だね」
「そ、そうだな……」
直訳で火山噴火。小学生の時は火山近くの町だからと特に深く考えずにつけたが、今見返すと町につけて良い名前じゃないなこれ。
災害に巻き込まれそうで不吉だ。
と言うか、町の名前もそうだが王都という国にとって重要な場所の近くに活火山があるってどうなんだ?作ったのが小学生時代だったというのもあるが、今考えると立地が色々とおかしいな…。
もう少し設定を考えるべきだったな。
「と、取り敢えず町に入るか……」
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