第3話

梅雨が始まり、体調に異変を感じた私は、母に言われて病院に向かう。なんとなく小さい頃から病院が苦手だ。

診察を終えた私は急いでMRIを撮りに行った。お医者さんが少し親と話したところ顔を青ざめて検査をすると言うのだ。何かあるのかもしれない。嫌な予感がした。

大体の場合嫌の予感というものは当たる。今回もそうだった。私は「余命半年」らしい。いや、半年もないかもしれない。そう言われてしまった。病院を終えた時からの記憶がない。気づいた時には家に着いていた。何が起こったのか理解ができない。

父が帰ってきてリビングに呼ばれた。しばらく黙った後、重い口を開けて話したのは、遺伝性の病気で亡くなってしまった人のことだった。その人は私の血縁関係にある人らしい。そして私はその人の遺伝でその病気になったのではないかという話だ。親も覚えてはいたが私が健康体だから心配してなかったという。確かに体調が悪い日が最近増えていたけど、親には言っていなかった。だからといって急に「余命半年」っと言われても全然想像ができない。すぐに思いついたのは直樹のことだった。早く言いたい。相談したい。泣きたい。でも、そんなことをしたら迷惑をかける。これ以上は頼れない。

直樹のこと好きだったが諦めよう。半年しか生きられない私に勝機などない。

次の日の朝直樹が迎えにきてくれた。何もないように振る舞うのは大変だったけれど、迷惑はかけたくない。嘘をつくのが辛かった。学校について1限を抜けて空き教室で一人で泣いた。嘘をつくことの辛さともう直ぐ会えなくなることを自覚してしまったから。涙を拭いて2限から参加した。直人には心配されたがバレないようにうまく誤魔化した。参加したものの授業には集中できずレジュメは真っ白だった。

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