Side1
霞屋君は反対方向の電車だったので駅で霞屋君と離れた。私は家の方向に向かう電車がほぼ待ち時間無く来たのでそれに乗り込む。
霞屋君は数週間一緒に仕事をしたり関わっているうちにすぐにわかることがある。とても落ち着いていて話しているとこちらも落ち着く。
彼なら私の秘密をしゃべってしまっても大丈夫かもしれない。そんな気がする。
喫茶店でコーヒーを飲んだりするとどうしても欲しくなってしまう。
電車に乗る前に行こうかと思ったが、学校の人が見ているとさすがに問題になりかねない。
たとえ法律では認められていても、他人からの印象というものはとても大事だと、私は思う。
「今日は制服じゃなくて私服か…」
今学校に面識のある人はまだ少ないからほかの駅で私服でいれば学校の人に気づかれることも少ないだろう。それに学校指定ではない所謂なんちゃって制服だとしても、一般の人から見れば高校生と思われてしまう。それではなかなかに都合が悪い。
そんなことを考えていると電車は隣の駅に着く。まだ家の最寄り駅まではしばらくあるが、いったんここで降りる。
流石に学校に行くときのカバンの中には普段からは入れてないのでコンビニに立ち寄る。
お菓子売り場に何か珍しいお菓子とかないかなとか考えながら見る。
「あ、これ買っていこ…」
そのお菓子をもってレジに向かいお菓子を出す。
「いらっしゃいませー。レジ袋はご利用しょうか?」
「いらないです。あー、後ろの204番ひとつおねがいします」
「こちらですねー。年齢確認の画面のボタンをタップお願いします」
言われたように画面をタップし…
「お会計780円になります」
財布を開けるとさっき喫茶店で小銭をたくさん使ってしまったこともあり、財布の小銭入れの中は空に近かった。小銭は増えてしまうと財布が重くなって好きじゃない。
「カード使えますか?」
「クレジットカードですね。ご利用いただけます。」
「ではこれで」
店から出て駅の前にある喫煙所に行く。平日の夕方、まだ社会人の退勤時間の混む時間ではないので誰もいなかった。
カバンの中にタバコ本体は入ってないのになぜジッポは入っていたのだろうか。それならひと箱くらいタバコも入れとくんだった。とか思いながらタバコに火をつける。
「高校の学校帰りに喫煙所とか背徳感しかないな」
と一人で苦笑する。
久々に学校に通うようになってもうすぐ1か月。今のところ私のことに気づいている人は周り、少なくともクラスメイトにはいないだろう。知ってるのは先生たちだけか。
このこと同じ学年の人たちにばらしてもいいことはない。気を使われるようにでもなってしまっては居心地も悪いし、最悪3年前のようになったりするかもしれない。そんなことになってしまっては今度こそ…。
しかし、だれにも話さないのも辛いものだなとか思う。高校は浪人してくる人もほぼいないし、留年していてもいいとこ1年。やはり気を使われるようにはなってしまうだろう。
でも、霞屋君はどうだろう。彼なら気を遣わないでほしいという気持ちまでもくみ取ってくれるのではないだろうか。いや、むしろほかの誰よりも気を遣うようになってしまうのではないだろうか。
そもそも部活とかは入れば気の許せる友達くらい作れそうなのに、それをしない、しようとしない自分にもどうかと思う。女子のグループが怖くなってしまっている。それでいながら自分の寂しさを男を作って紛らわそうとしている自分がとても嫌になる。
短くなったタバコの火を消し電車へと向かう。
電車に乗り外の流れる風景を風景をどことなく眺める。
寂しい。
自分が嫌いだ。
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