2nd Road 東名最高速伝説編
SPEED.11 東名の怪物
走ること数分。東名高速の町田ICに入った。
素晴らしいエンジン音を奏でながら追い越しをかけて走り去っていく走り屋たちを眺めた。
東名にも走り屋はいる。FDだのGT-Rだのって。しかし、そこで輝く車を発見したのだ。それは
『ハコスカ』 KPGC10型スカイラインGT-Rだ。
登場したのは1969年だった。今から50年ほど前だ。そして、50連勝の記録を打ち立てていた。
この『ハコスカ』こと『スカイライン2000GT-R』は有名なドライバーがいる。その一人が高橋国光氏だ。彼はレースの中でトップ3に入るなどの成績を納め有名なドライバーとなった。
その有名なハコスカが東名高速を名人のごとく華麗にスラロームしていく。「かっけぇな。」
思わず口に出てしまった。
ハコスカは俺の憧れでもあった。前に会ったお姉様も黒のハコスカに乗っていたし、憧れの的だったのだ。ただR34には浮気できない。
諦めた訳では無いが、ハコスカを買うのはまだ先になる可能性が俺的には高い。
この白い34かブライアンモデルのどちらかが駄目になった時、買い換えるかもしれない。
ただ、この白の34が駄目になったとしたら、俺はきっと絶望すると思う。金は掛かっているしメンツだって入れまくっているうちのカンバン車の1台だからだ。失望も重なるだろう。
そんな時、巷では有名な東名の怪物の話を走り屋の仲間から聞いた。
その車はR32GT-Rだ。噂によれば若い女の子が運転してるとか、してないとか。という情報が流れて、俺の耳に入ってきた。
色はピンクパールでナンバーは『浜松 330 よ 30-03』だという情報も耳にしていた。
果たして会えるだろうか。色は目立つが東京から愛知の名古屋まで伸びるこの
それはそうと、楽しく走れればいい。
気づくと後ろから1台の33がバッシングをしながら猛スピードで追撃してきているのがバックミラーに写っていた。なんだこいつは?
海老名SAに入るとその33は横に停まってきた。
「速いですね。あれ?リョウト先輩じゃないですかぁ。お久しぶりです。」
この人は姫野愛咲。真綾と同じく高校の後輩だ。彼女は俺と同じ部活に所属していた。
彼女は32GT-Rを操り、谷田部で『3分2秒07』という好記録を残した素晴らしい後輩だ。
「そういえば、お前には借りがあったなァ。今返すのはだめか?」
俺はその谷田部で34を操り、『3分2秒11』とあと少しという記録を持っていたので、ここでケリをつけようと思ったのだ。
あの時はタイムで負けたが今回はマジのバトルで勝つ。それだけだ。
愛咲のR33は840PSとなっていて、俺と同じ馬力の設定がなされている。
東名ではぐるぐる走り回ることができないので東京に戻る形でバトルをすることにした。
こっからが本番だ。そう思った。
普通に考えて一昔前の失敗作とも言われた33と
今尚絶大な人気を誇る34がバトルすると思えば、他の人間たちは大人げないと思うが、
彼女の車は
ここでケリを付けなければいつまた会えるかも分からない。だからこそやっておくのだ。
「わかりましたよ先輩。でも、あと5分待ってください。セッティングとかしたいので。」
相手は先代GT-RのR33でエンジンは同じRB26DETTエンジン。馬力も初期状態で280PSを発生させるバケモンだ。戦い甲斐はある。
ここでもし、負けるようなことがあれば、この白い34は売り飛ばす覚悟だ。
それは走り屋としての勲章が失くなるのと同じである。
「先輩。行きましょうか?」彼女が俺に声をかけてくる。「ああ、そうだな。」
俺が34のドアに手をかけた時歓声が上がった。
あの赤いランエボ…見たことあるな。その様子をうかがっていると、こちらに気づいたのかその人はこちらに向かって歩き始めた。
「あれ?リョウじゃないか。久しぶりだな。」
やはり、『湾岸の天才ニキ』だったか。
どうも乗っている車とナンバーが同じだった。
俺達はともに『湾岸の天才ニキ』と『湾岸の鬼才ニキ』と呼ばれてきたのだ。
その彼とここで再会することができるとは思ってもみなかった。
「再会できたんだし、せっかくだから皆でバトルしようか?」彼はこう言った。
R33、R34、997、セリカXX、ランエボファイナルでのバトルだ。
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