SPEED.8 高校教師ランナー
ここは首都高新環状左回り。1台のセリカXXが走っている。「ようやく仕事が終わったわ。これでのびのび走ることができるね。」
この女性は涼斗たちの高校、『横浜高校』の女性教師である。当時は28歳だった。
「リョウくんたちは元気かしら。会えると嬉しいんだけど。こんなに広い首都高じゃ会えないかもしれないな。連絡先交換しとけばなぁ。」
そして、私は大黒PAに入る。そこでは
そこにはリョウくんと菜々子ちゃんがいた。
まさかこんなカタチで会えるとはね。
「二人とも久しぶりだね。」二人は、ん?となっていたが、「あぁ、赤井先生か。久しぶり。」
「せんせー、久しぶり〜。」「久しぶりね。」
俺と赤井先生は最後にあったのが3年前の卒業式だった。その時俺が乗っていた車は34ではなかったので先生は少し声をかけるのを控えていたのだろう。挙動不審だったのが見て取れた。
「リョウくんは34に乗ってなかったよね。もしかして乗り換えたの?」やはり聞いてきた。
俺が免許を取ってまもない時に乗っていたのは
1987年式の2代目アルトワークスRS-Rだった。
64PSをさらにブーストアップさせ148PSを発生させた。中はロールバーを入れ、本気の走り屋仕様にして、高速を爆走していたのだ。
そんな中、1台のR34GT-RにことごとくカモにされてからR34に乗りたいという気持ちが芽生え
て今に至たり、見事な34を作り上げた。
そのアルトワークスは今も家のガレージに置いてあるのでたまに乗ったりして楽しんでいる。
「アルトワークスも良かったけど、なんだかこの34もいいわね。」青いバイナルを触って先生はそう言った。「先生も元気そうだな。」
アルトワークスといっても40年ほど前の車だから、そういつまでも乗ってはいられないのが旧車の仕方のないところだ。飲み込むしかない。
「とは言ってもねぇ。リョウくんたちのやってることは違法なのよ。ホントはやったらだめなんだからね。知ってるの?」
何を言ってんだこの人は。あんたも同罪のことしてんだから人に言えるわけないでしょ。
まぁ、俺らよりは目立たない車だが、警察に見つかったら一瞬で免許剥奪になっちまうんだ。
そう一人で考えていると、パトカーのサイレン音が聞こえてきた。「サツだ。逃げろ!!ヅラかるぞ。」周りにいた走り屋たちは慌てて車に乗り込む。「ヴォォォォ」「オゥゥゥゥ」「ギャァァ」
「ぐずぐずしてる暇はないわ。私達も逃げるわよ。」先生は俺に向かって言った。
パトカーが次々に入ってくる。「やばいやばい」
ここで捕まるとほんとに人生が終わるのと変わらない。愛車は間違いなく押収されるだろう。
愛車を押収されると愛車を見ることもできなくなるし、どうなるか分からないのが1番怖いのだ。そうならないために逃げる。
「前の34GT-R、止まりなさい!!」マイクからサツが俺の車に向かって叫ぶ。「うそ、マジ?
やばい!!」「ヴォォォォ」「コク」「ヴェウウ」
気づいた時には後ろにいたのだ。もっと早く気づけばよかったそうすれば逃げられたのに。
だとしてもこっちの馬力は840もある。向こうは200馬力くらいだろう。600以上も差があるのに勝てるわけないにも関わらず追いかけてる。
走ること数分。後ろにパトカーはいなかった。
当たり前のことと思う。馬力の差があまりにもありすぎるのでわかりきったことだった。
「フハハァ」つい鼻で笑ってしまう。
惨めなクラウンのパトカーだったな。高速パトカーの34とか出てきても馬力差がありすぎて無理だろうけど、まぁ頑張れってカンジかナ。
必死になってサツから逃げていたので先生の車と菜々子の車がついてきていないことに気づかなかった。仕方ないので、とりあえず辰巳第一PAに入り、スマホで連絡してみることにした。
『生きてるかい?』まぁ車を運転しているだろうから連絡はすぐ来ないことは分かっている。
俺はその連絡が来るまで待つことにした。
すると1台の雰囲気あるBMW・M4 Coupeが入ってきた。「こりゃ、雰囲気あるやつだ。」俺がボンネットに腰掛けていると、隣に停めてきた。
これは急展開。はよ帰ってこい先生と菜々子。
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