四話「お待たせしました、始まり申した。」
色んなことがあった、不良にフルボッコにされて、入院して、退院して家に帰ったらぶっ壊されてて、作業員に聞いてみたら俺、
駅を越えた町の北側には誰も寄り付かない公園がある。そんなに広くないが
背に腹は代えられない。こうなったらホームレスになってでも生きていかなきゃならない。
駅を越えてしばらく歩いたが、例の公園ってどこにあるんだろ?イベントで場所自体は知ってるけど行き方は知らないn…
「アンタ、そんなとこで何してんの?」
後ろから声をかけられ振り向くとそこには
「え!?尾金!?」
「そんなビックリするようなこと?アタシん
…あー、わざわざ言う必要もないけどどうせ噂で流れるだろうから隠す意味もない、メンドイな。
「別に尾金が気にすることじゃねぇよ。その、個人的なことだし。」
「…これから
集松公園、目的の公園のことd…
「え?は?な、なんで知って!?」
「やっぱり。この辺をそんな顔でフラフラ歩いてたら大体察しが付くわよ。」
「…そんなヤバい顔してた?」
「この世の終わりみたいな顔してた。」
「…え?そんなに?」
「…冗談。でもかなり思い詰めてそうだったから声をかけたのよ。」
…優しいな。尾金の中では学校で女の子襲いかけたクズ、って認識のはずなのに。
「話くらいは聞いてあげるわよ?アンタのおごりなら。」
そう言って尾金は信号の先にある
あまりお金に余裕はないが、無性に話を聞いてもらいたくなった俺はその誘いを
作中で喫茶店と言えばデートイベントでしか入らないのだが、そこそこ値段が高くて学生が入るにはちょっと厳しいイメージがあったんだけど、尾金が指定したこの喫茶店はかなり良心的な値段設定で、店内を見渡すと学生らしき人がチラホラ見えた。
「…で?何があったのよ。」
コーヒーにミルクとガムシロップを入れ、混ぜながら尾金は
「…大したことじゃn…、大したことなんだけど、帰る家が無いんだよね。」
尾金のコーヒーを混ぜる手が止まった。
「今まではさ、取り壊し予定のボロアパートに勝手に住み着いてたんだけど、今日退院して帰ったらもう作業が始まってて…。」
「ちょっと待って、何からツッコんだらいいのか分かんないんだけど…。アンタ親は?」
…根取に親がいるのかどうかは俺も気になっていた。作中で根取の親の話は聞かなかった。病院にお見舞いに来ていた様子もない。根取の持ち物の中にも親に繋がるような物は無かった。
まあメタな話、エロゲの竿役の背景なんざあるわきゃない、ってのが正解なんだろうけど。
「さあ?気づいたら一人だったから知らね。」
嘘は言ってない。
「…それで集松公園に?」
「そ。アテが無いんじゃそういう場所に行くしかないでしょ?」
「……。」
この町にそういう相談所みたいなものは無い。一応探してはみたが存在しなかった。クソ、エロゲクオリティめ。
「えと、全部で660円だな。ここに置いてくから。」
「ちょっと!アンタこれからどうすんの!?」
「…どうする、ったって分かんねぇよ。学校は三学期からは行こうと思ってるよ。学費は払ってるだろうし。まあ三年生の分は知らねぇけど。払えねぇようなら退学するさ。その後は、バイトでもして食いつないでいこうかなってくらい?」
「……。」
「…じゃ、そろそろ行くわ。それじゃーな。」
そう言って歩き出したところで、服の
「…あ、あのさ提案なんだけど。」
提案?バイト先でも紹介してくれるのだろうか、それならかなり助かる。
「…ア、アンタさ
…?
「あ、言っとくけど勘違いしないでよ!?アンタの話聞いて可哀そうだなって思ったから同情して提案してあげてるわけで!!他意は無いから!!」
……??
「それに!アタシ好きな人いるし!!変なことしたらソッコー叩き出すし警察呼ぶから!!あと!家賃もちゃんと払ってもらうから!!」
………???
「それでも良いなら!!…
………???
「返事ッ!!」
「ハイッ!!?」
「…よろしい。じゃ、とりあえずアタシん家行こ。」
え?なんで??どういうこと???
アタシん家?アタシん家つったか?アニメ?いや、冗談言ってる場合じゃなくて。
え?何?ラブコメ始まった?
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