二話「ここから始めてみるのも嫌だ。うん、嫌だ。」
襲われそうになってた女の子を助けたい一心で不良五人に喧嘩を売った俺、
病室の扉が開き、そこに立っていたのは…。
「…元気そう、には見えないわね、うん。」
…
絶対王政破廉恥学園のNPCの中でもひと
当初は隠しヒロインは尾金なのでは?と言われていたが、実際は攻略対象外のNPCである。プレイヤー間では「尾金が攻略できないとかバグだろ。」とか騒がれていたが、時間とともにそんな声も小さくなっていった。
「…その、体、大丈夫?一週間前に見たとき、その、目も当てられないくらい酷い怪我だったから…。」
「…え、ああ、まあなんとか。…て、一週間!?俺って一週間も寝てたの!?」
「そうよ、一週間。目も覚まさないし、ずっとうなされてたって、看護師の人に聞いた…。」
…一週間、そんなに眠ってたのは前の人生含めても初めてだな。てか、そんなことより!今目の前にいるのは尾金命子じゃないか!!
やっぱ可愛いな。ヒロインに混じって人気なキャラなだけはある。キャラデザがホントに凝ってる。作者の
「てか、尾金はなんでここに?あ、もしかしてお見舞いに来てくれたのか?」
「…えと、まあ。アンタのこと、ハッキリ言うと嫌いだけど、助けてもらったのにお礼を言わないのは違うと思ったから。その、助けてくれてありがと。」
…なんというか目の前にすると、ちゃんと生きてるって感じがするな。いや、キャラたちにとってはこの世界こそ現実なわけだから当然なんだけど。てか、さらっと嫌いって言われた?
尾金ってキャラは作中では、どうしようもない
「…まあ、そんなに気にしなくていいよ。てか、さっさと忘れてほしい。助けようと思って割って入ったのに、フルボッコにされた
そこで、言葉を
「…アンタ、本気で言ってる?じゃあ、忘れもしないし笑い話にもしない!嫌いなアンタでも少なからずあの時はカッコいいって思った。だけど今の発言で全部台無し。ちょっと前までのアンタならクッソダサくても最後までカッコよくもないのにウザったくカッコつけてた。なのに今のアンタはずっとナヨナヨしてる。正直、今のアンタは前以上になんかホントにダサいよ。」
そう言った尾金は持っていたレジ袋を置いて病室を出ていった。
酷い言われようじゃね?間違ってはないんだけど。
…あの口ぶりだと尾金は根取のこと、そんなに嫌ってはないのか?いやまあ、嫌いは嫌いなんだろうけど。でも、根取が尾金に絡んでたのって序盤も序盤だしな。確か、購買部解放イベントのときだけだったはず。
その後の悪評も聞いてはいるんだろうけど…。
ベッドに寝転んで天井を意味もなく見つめてみる。
…ホントに根取夜郎になったんだな。実感が無かった。今の今までタチの悪い夢か何かなんじゃないかって思ってた。てか、今でも夢オチを期待している自分がいる。
でも、現実なんだなこれが。俺の新しい現実になったんだこれが。
そう思うと泣けてくる。今までの人生で、こんなにも人から嫌われたところからスタートしたことなんて無い。あるわけない。コイツと違って俺は
…そんなの堪えられる自信が無い。コイツみたいな鋼のメンタルしてるわけじゃないんだ。ナンパ一回失敗しただけで一か月女子と接触するの避けたくらい俺はメンタル弱いのに。
窓の外を見てみる。澄み渡る青空がまぶしくて。吹き渡る風が物悲しく感じて。この感覚を俺はよく知ってる。不思議と頭のモヤモヤがスーッと抜けていく感じがした。
…受け入れるしかない、この現実を。コイツ自身がどう思うかは知らんけど、俺なりに根取夜郎として生きてみよう。
…そう言えば、尾金は何を持って来たんだろ。
ゴソゴソとレジ袋をあさってみる。
「…これ、いっぱつドリン子か?」
いっぱつドリン子、絶対王政破廉恥学園における、いわゆる行動回数を増やす系アイテムだ。尾金自身が調合して作っている飲み物で、この自作のキモ可愛い?生き物のパッケージが特徴だ。
これを前日の就寝前の行動で飲むと次の日の放課後の行動回数が一回から二回に増えるという、ただでさえカツカツな好感度や主人公のステータス強化には必須級の飲み物。ついでにボロボロになった傷も一発で回復するとかいう怪しい効果もある。
「…ゲームでは効果があったけど、これ現実で効果あんのかね…。」
「…うぇッ!?なんだこれッ!!?クッソ甘いッ!!?」
主人公ってこんなモンほぼ毎日飲んでたのかよ!?いや、飲ませてた、か?どっちでもいい、こんなの毎日飲んでたら糖尿病不可避だろ!!
…なんか、体が熱くて頭がボーっとするな…。なんだこのエロゲの
なんか、眠くなっt…
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