第43話 転移したら女神さまと暮らすことになった件(終話)
今日は晴れの舞台。
小さな教会で二人だけの結婚式…のはずだったのだが。
「何でアルトが居るの?」
「えーだって来たかったから」
「やはり、結婚式は良いものじゃの」
「コルネット一段とステキね。私の時も純白のウエディングドレスがいいわ」
一応変装をしているが、白いフードを被って教会に来ていた。
母親に転移魔法で連れ出してもらったらしい。
なのでアルトと黒髪、黒い翼の女性(アルの母親)、フェミニアが居た。
念のため人が入ってこないように結界魔法をかけておいた。
「来ちゃったものは仕方ないね」
『みんな来てくれて嬉しいわ。ありがとう』
まあ、これはこれでアリかな?
「コホン、ではよろしいですかな?」
神父が誓いの言葉を読み上げる。
純白のウェディングドレス姿のコルネットは一段と輝いていた。
僕は慣れないタキシードを着て、彼女を見つめていた。
「コルネット惚れなおしたよ」
『ソウタもカッコいいわ』
僕たちは誓いのキスをした。
*
――――10年後。
僕は領主として忙しい日々を過ごしていた。
プノンは努力の甲斐あってか、少しずつ活気を取り戻していた。
町の仕事を作り、若者が住みたい町を目指している途中なのだ。
「ようやく本屋が町に出来たって?」
「最近越してきた若い人が店を作ったみたいですね」
相変わらず、エミリアさんに仕事を手伝ってもらっている。
流石にもう僕にちょっかいをかけてくることは無くなったけど。
「本読みたいな…」
「何がそんなに面白いのですか?」
エミリアさんは本に全く興味が無いらしい。
人それぞれだけどさ。
*
休日、僕は新しく出来た町の本屋に行ってみた。
異世界の本屋は、魔法書が主で物語のような本は少ない。
実用書が多いイメージかな。
「小説読みたいな」
ドアを開けると本の独特な匂いがした。
新しい本よりは古書が多い。
紙は貴重なのだ。
「あれ、あの本が置いてある」
【魔法学基礎~これであなたも魔法が使える~】だ。
読まなくても魔法が使える僕には必要のなかった本なのだけど。
「いらっしゃい。何かお探しですか?」
聞き覚えのある声がして、見ると青い髪の青年だった。
茶色いエプロンをしている。
「誰かと思ったら、領主様じゃないですか」
「ナダルさん、貴方でしたか。新しく越してきたというから別の人だと思っていましたよ」
「あの一件から…実家に戻って王都に行ったりしていたので、結局奥さんとこの町に戻ってきたんですけどね」
どうやら結婚していたらしい。
「何か物語の本置いてないかな?無性に読みたいんだよね」
「へえ~珍しいですね。そういった本はあまり読まれないんですけどね。じゃあ、これとかいかがですか?」
「【転移したら女神さまと暮らすことになった件】新進気鋭の女性作家が書いた本らしいんですけどね」
身に覚えがあった。
最近コルネットが、部屋にこもって何かしているなって思っていたら…。
「何でも、自分は女神だって言っているらしいですよ?」
ナダルの言葉に、僕は苦笑いをしていた。
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最後まで読んで頂き有難うございました。
前作とはコンセプトを変えて、書いてみたのですが如何でしたでしょうか?
宜しければ☆の評価を頂けると嬉しいです。
次作でまたお会いできることを楽しみにしています。
転移したら女神さまと暮らすことになった件 月城 夕実 @neko6
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