第25話 王様の友達

王様と呼ばれた青年はコルネットに話しかけた。


「もしかしてそちらの方は女神様だろうか?以前、女神アイリーン様に会った事があって…雰囲気が似ている気がするんだが…」


『そうなんですか…アイリーンに会ったのですね』


「「王様!この者たちは突然現れた不審者です。離れて下さい」」


兵士が王に近づこうとするが結界があるため近づけないようだ。

危険が無くなったのだから結界は解かないとな。

僕は魔法を解いた。


「私は大丈夫だから心配いらないよ」


彼はゆっくりと起き上がった。

兵士をなだめる穏やかな口調だ。

本当に王様らしい。

まだ20代くらいの青年に見えるのだけど。


『ゼノベア王。突然城にお邪魔して申し訳ありません。貴方様が意識を失った時、魔力が暴走しそうだったので止めるために駆け付けたのですが…杞憂きゆうだったようです』


コルネットが王様に今回の事を説明した。


「魔力暴走?…そりゃ不味いな。最近、働きづめだったからその所為かな」


『無理していませんか?たまにはゆっくりされた方がよろしいかと。回復魔法ヒールかけておきましょうか』


「いや、いい自分で出来るし。肝に銘じておくよ。ありがとう」


若い王様は、近衛兵に向かって言った。


「私はこれから部屋に戻って休むことにするよ。今日の仕事は全部キャンセルしてくれ」




   *




僕たちは王様の私室に案内された。

王様は椅子に座っている。


「さて、君たちの事を聞かせてもらおうか」


心なしか嬉しそうに見える。

まるで少年の様に、瞳がキラキラして見えるのは気のせいだろうか。


「僕はソウタです。隣は女神のコルネット、少女はフェミニアでトステアの王女様です」


「私はアルト・ウィンザー・ド・ゼノベアだ。この国の王様をやってるよ。私は見た目が若いが、これでも300歳越えていてね。お祖父ちゃんかな?天使族っていうんだってさ」


「始めましてフェミニア・ウィルストン・ラ・トステアです。第六王女です」


「へえ〜隣国の王女様とは…」


フェミニアとアルトはしばらく見つめあっていた。


「トステアの第六王女?…聞いたことはあるけど会った事は初めてだね」


「私も若い王様とはお聞きしていましたけど、まさかこれ程とは…っていうかお祖父ちゃんって…ププッ!し、失礼しました」


アルトはフェミニアを見て目を丸くしている。


「良いね!君!是非ぼくと仲良くなってくれないかな?友達で良いから」

「と、友達?」


唐突な提案にフェミニアが目を大きく開けて驚いていた。


「い、良いんですか?私と?」

「是非君と仲良くしたいんだ。駄目かな?」


「嬉しいです!私で良ければ!」


フェミニアはアルトに抱きついていた。


「ちょっと!フェミニア王様なんだから不味いって!」


僕は慌ててフェミニアに言う。


「いいよ、いいよ、何せ気楽に話せる人が居なくてね。ハグなんてお安い御用だ」


アルトは笑っていた。

随分と緊張が解けたようだった。

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