第24話 白い翼の青年

私は今日も玉座の椅子に座っている。

忙しいせいなのか、体が酷く重いが…予定は待ってくれない。

休んだ方が良い…解ってはいるのだけど。


ぼーっとしていて頭が回らない。

座っているので倒れることは無さそうだ。


私は見た目のせいか、どうやら神格化されているらしく気軽に話せる人がいない。

寂しいという感情も感じなくなってしまった。

もうあれからどれくらい経ったのだろう。

ブリアンナと最後に会ったのは…。


バタッ!


「「王様?」」


「大変だ!王が倒れて…」


近衛兵の声が遠くに聞こえる。

バタバタと数人の慌ただしい足音。

私はそのまま意識を失った。




   *




『『ソウタ!』』


ぼーっとしていた僕の隣にコルネットが来ていきなり叫んだ。

なにやら必死の形相だ。


『ちょっと一緒に来て!直ぐに手伝って頂戴!』


「『転移テレポテーション』」




   *




僕はコルネットに掴まれて何処かへ転移した。


「ここは?」


広い煌びやかな室内、王城の玉座の間のように見える。

でもトステア城ではない。

椅子の前で誰かが倒れていた。

慌ただしく人が行き来している。


『倒れている人を中心にして魔法で結界を張ってくれる?3メートルくらいで』


ドーム型の結界をイメージする。


「『魔法結界マジックシールド』」


僕は言われた通りに結界を張った。

イメージするだけで魔法が使えるから簡単なものだ。


『フェミニア付いてきちゃったの?』

「え?フェミニア?」


彼女は転移するとき僕につかまっていたらしい。

コルネットが言った事で存在に気が付いた。


「何か面白そうだなって付いてきちゃった」


『はぁ~来ちゃったものは仕方ないですね。危険なんですけど…大人しくしていてくださいね』


「「貴様たちは誰だ?王に何をするつもりだ!」」


城の兵士たちに囲まれた。

思いっきり怪しまれて、武器を構えられている。

不法侵入だから当然か。


「「王様?」」


僕とフェミニアは青年を見た。

倒れている人は王様だったのか!


「大変!人が倒れているじゃないの!」


フェミニアが王様の近くに駆け寄った。

王様の内側から魔力が爆発しそうなヤバイ感じがする。

だから外に被害を出さないように結界を張ったんだな。

あれ…そうすると…。


『不味いです。フェミニアは防御力が無いので…わたしとソウタなら耐えられますけど』


「「フェミニア!今すぐその人から離れろ!」」



   *



私は倒れている青年の頭を撫でていた。

金色の髪と白い肌、瞳は何色なのだろうか。


「キレイな顔立ちだわ。背中に白い翼もあって天使さまみたいね」


「…ブリアンナ?」


青年の瞳が開かれた。

青く透き通っていて不思議と引き寄せられる。


「あれ?君は?」


「あ…」


私は顔が熱くなった。

一体何をしていたのだろう。

いくらキレイだからって、年上の人の頭を撫でるとかって失礼じゃないだろうか?


「ご、ごめんなさい」


「いや、お陰で意識が戻ったから良かったよ」


『良かった。取り合えず魔力暴走は起こらないでしょう。あのまま気絶していたら危なかったですよ』


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