第12話 王城へ
目の前にそびえたつ王城。
まさかお城へ行くことになるなんて…。
僕たちは城の中、玉座の間に来ていた。
数段高い所にある椅子に王冠を被った王様が座っている。
こんなの映画でしか見たこと無いよ。
「ワシはマーティ・ウィルストン・ラ・トステア三世である。そなたの名は何と申すか。
「僕は
僕は立ったまま王様と会話をしているが、大丈夫だろうか?
そもそも王様の前の礼儀とか知らないし。
コルネットは人間のサイズに戻って羽を広げていた。
「…異世界人に女神か!まことか!」
王様も流石に驚いているみたいだ。
僕の言う事を疑っていないようだ。
フェミニアは鑑定のスキルを持っているらしいから信じてくれているのだろう。
「ところでワシの娘、王女のフェミニアが迷惑をかけていなかっただろうか」
王の隣にフェミニアが立っていた。
「お父様、私はソウタに何も迷惑はかけていません」
「フェミニア、王宮では皆に迷惑をかけているではないか。数年前も実験と称して城を…」
「それはそれ。これはこれです。どちらかというと私が面倒を見てあげているのですけれど…」
「面倒を見ただと?」
王様は何故か顔を赤くしてプルプルと震えだした。
「何を勘違いしているのですか?冒険者の先輩として色々と教えていただけです…それとソウタにはもう恋人がいるんだから勘違いしないでくださいね」
「そうだったか…」
何故かガックリする王様。
「今日は城に泊っていくと良い。娘が世話になっただろうからな」
*
『フェミニアは王女様だったの?』
「うん。そうみたいだね。何で冒険者やっていたのかは謎だけど…」
「私だって自由に生きたいのよ。城だと窮屈でたまらないわ」
僕は王宮の一室に案内された。
流石お城と言うだけあって、高そうな壺や絵画が飾ってある。
フェミニアはいつの間にかドレスに着替えていて見違えた。
馬子にも衣装とはよく言ったものである。
仕草も不思議とおしとやかに見えるのは気のせいだろうか?
話しながらつい凝視してしまう。
「あは、ドレス似合ってる?普段着の方が楽なんだけだどね」
まんざらでもない様子だ。
「お邪魔してごめんね。家出したせいか居づらくて来ちゃった。六番目の末っ子だから城に居なくても全然影響無いと思うのよね」
手で髪を払う。
三つ編みを解くと印象がだいぶ変わるな。
六番目の王女。
上に五人も居るのか。
「大家族だと大変だね…」
「そう!なのよ。気を使って疲れるし…解るでしょ?姉たちと合わないしさ…どうせどこかの王子と結婚させられるに決まっているのよ」
「むぅ…」
コルネットは僕を見て唇を尖らせていた。
*
「フェミニアが帰ってきたらしいね」
「そうなんだ。一年ぶりね」
「今回の家出は長かったね」
俺はエリック第一王子だ。
今、城の中庭のガセボで妹たちとお茶を飲んで話をしていた。
第六王女のフェミニアが帰ってきたのだ。
だからと言って何のことは無いのだけど。
第二のアナリーゼと第四のメイプルは変わった出来事があったね~くらいのノリで話しているだけだし。
何せ歳が離れすぎているし彼女とは接点が無いのだ。
実際話したことあったっけ?
「そういえば、男の子と一緒らしいわよ?」
アナリーゼが新情報をもたらす。
「へえ~そういう年頃なのかな?」
「ちょっと見てみたいかも」
メイプルも食いついてきた。
彼女の家出は何回もあって、今回は長かった方だ。
どうやら見つかってしまったので仕方なく帰ってきたらしいのだけど。
フェミニアの連れてきた少年。
俺も興味が出てきた。
一度見てみたいかも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます