第11話 トステア王国

トステア王国に到着した。

城下町全体が高い城壁に囲まれている。

僕たちは門の外で乗合馬車を下ろされた。

中に入るのにチェックがあるらしい。


冒険者ギルドカードを提示して街の中に入った。

コルネットは小さくなり妖精のふりをして素通りだ。

想像していたのと少しイメージが違うな。

武器を携帯した兵士が街中を見回っている。


「物々しいけど、何もしなければ問題ないわ。至って平和な都よ」

『最近は大人しくなりましたよね』


コルネットは僕の肩に乗ったままだ。

歩かなくていいから楽なのかも。


「随分人が多いな…」

「本屋は大通りにあるのよ。はぐれない様に手繋ぐ?」

「いや、いい」


フェミニアに連れられて一緒に歩く。

店が沢山あり目移りする。


『いい匂いがします~』

「コルネットは相変わらず食いしん坊だな」

「コルちゃんらしいわね」


そこかしこで露店が出ていて、食べ物屋さんがある。

食べながら歩けそうなものと、座って食べるものと。

店の前にテーブルが置いてあり、食べている人も居た。


「ソウタだって見てるじゃない」

「だって、お祭りみたいなんだもん」


楽しそうな雰囲気、嫌いじゃない。

少し違うかもだけど、お祭りの出店のイメージに近い気がする。

もう少しお洒落かな?


「これが普通なんだけど…折角だから食べ歩きする?」


フェミニアは王都に詳しいらしい。


「よく王都に来ているの?」

「ま、まあね」


何だか歯切れが悪いな。



「あれ?」


僕たちが周りの兵士たちに凝視されている気がする。

何でだろう。

フェミニアは、僕から少し離れていつの間にか建物の陰に隠れていた。


「どうしたの?」

「悪い、見つかっちゃった。逃げるわよ」


見つかった?何に?

フェミニアは何かに追われているのだろうか?


『だったら、捕まえてしまえばいいのでは?』


「『拘束魔法バインド』」


コルネットは追いかけてくる兵士を魔法で次々拘束していった。


「うわっ!」

「何だ?どうした?」


両手両足を魔法で縛られた兵士数人が路上で転がっている。

ザワザワ…。

突然の異変に街の人々は騒めいていた。

兵士が拘束されるとか普通ありえないからね?


「あっちゃあ…」

「やっちゃったわね」


フェミニアも僕と同じ思いのようだ。


「仕方ないわね。諦めていったん帰るしかないか…」


兵士に何かすれば国家権力に敵対することになりかねない。

コルネットは全く解っていないようだった。


「帰るってどこへ?」

「私の実家、トステア王城よ。自由な生活を満喫してたんだけどなぁ…もう見つかっちゃうなんて。悪いけど、一緒に来てくれる?本屋は後回しね」


「「ええ?」」


お城へ行く?

実家?


『どこへいくの?』

「フェミニアのお家だって」

『お家?』


コルネットは首を傾げていた。

フェミニアって王女様だったりするのだろうか?


コルネットに言って、兵士たちにかけた拘束魔法バインドを解いてもらった。

流石にもう追いかけて来ることは無かったけど。

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