第32話 偵察スキル

すると、突然、目の前の景色と違う景色が脳裏に映った。


偵察用の光の粒子が飛んでいく実感はなかった。


単に、極微粒子の扱いに、俺が慣れてないから、感触を掴めていないのか……?


思考を巡らせながら、祠に向かって歩き出した。


すると、歩いた分だけ、脳裏に浮かんだ景色も動いた。


これ……めちゃくちゃ便利やん。


次は、同時に俺の体を中心に前後左右100mに飛ばしてみるか……


移動中、どの方向から実家の追手が迫ってくるか分からないし。


物は試しだ!


偵察粒子……追加発射!


飛ばした粒子の数だけ脳裏にマルチモニターで景色が浮かんだ。


いいぞ、いいぞ。


偵察粒子……更に追加発射!


上空100mと地下100mにも飛ばしてみた。


思った通り、脳裏に2枚の景色が追加で浮かんだ……のは、いいんだけど……


上空100mの映像は、高所恐怖症の俺には、背筋の凍る恐怖映像だな……


股間にぶら下がる巨大なラゴイルのイチモツが、ソワソワしながら縮こまるのが分かった。


何、この感覚…初めて…


じゃない!!


馬鹿なことを言ってる場合じゃない!


これも、転生を気に克服しなければならない事なのかも。


折角のスキルを活かすためにも、慣れねば!



一方で、地下100mに送った偵察粒子からの映像は……真っ黒だ。


モニターが……死んでる……?


いくら意識を向けても、真っ黒にしか見えない。


地中に偵察粒子は届かないのかな……


でも、お爺さんは、これでもかと言わんばかりに胸を張って、「儂のスキルは最強じゃ!!」って豪語していたし……


もしかして……


俺は、地中に飛ばした粒子に意識を向けて、焦点距離を近づけるようなイメージを膨らませた。


すると、土の粒が見えて来た。


キターーッ!


マジかよ。地中もいけるんだ。


いい意味で期待を裏切られたわ。


凄いな、これ……


というのと、おじいさんの言っていた理解して実践して☆認定の意味が分かった。


俺の理解が及ばないと使いこなせないからって事なんだろう。


事実、地中の使い方なんて、“焦点距離のアプローチ”が無ければ、地中の偵察は出来ないんだって結論に収まって、おじいさんからは☆を貰えなかった可能性が高い。


案外このスキル、修得の過程も楽しめそうだ。


頭が悪いから苦労はしそうだけど、それでも自分のスキルの事だから、頭を使う価値があるり、その方がもっと深い理解が出来るかもしれない。


早速記憶の引き出しの中に、光の粒子に関連しそうな知識が無いか漁ってみた。


“光子”かなぁ……


理系にも疎い俺は、全然詳しくはないのが悔やまれる。


それでも、前世の“光子”では、地中に飛ばすなんてできないんじゃないか……


それができるという事は、この光の粒子は光子とは別の……この世界特有の粒子か……?


地中に送れるとか、焦点距離を変えれるとか……おじいさんの最強発言と合わせて考えると、かなり使い道が有りそうだな。


想像を膨らませてもキリが無いし、情報量が少なすぎて出来ないことを妄想して浸っていてもバカバカしい。


今日のところはこの偵察機能に集中しよう。


使いこなせるようになれば、【白き理】☆1だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2024年9月21日 11:00
2024年9月21日 22:00
2024年9月22日 16:00

転生しても”はぐれもの” C-HAWK @C-HAWK

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画