第28話 脱空 その3
「お前さんは、別に【白き理】を完全にマスターしたわけじゃないからのう。」
あ…そういうことか…
「急にいろいろできるようになっても、お前さんも大変じゃろ?だから、お前さんの理解に合わせて、段階的に開放する。」
「おぉ、なるほど。」
「習得スピードは人に寄るもんじゃ。だから、段階がいくつまであるとは言えん。」
「ひとまず、今のお前さんは、【白き理☆0】ってところじゃな。一つ理解して実際にできるようになったら、【白き理☆1】になる。」
「すると、スキルを使って五個できるようになったとき、【白き理☆5】ってことですね。」
「そういうことじゃ。」
学生の時に遊んでいたテレビゲームのレベルアップと同じイメージか……分かり易くて助かるわ。
でも、経験値が溜まればいいんじゃなくて、理解して実践して☆が増えるってことは、よりにもよって、頭を使う訳だ……
それに……
「人に寄るって事は、☆がいくつまで付くかは、俺次第で、俺の習得が早ければ☆3で全て修得になるし、遅ければ☆50とかになるって事ですか?」
「そうじゃ。早速じゃが、一つ目は何にしようかのう……あーっ!いかんいかんっ、儂の事じゃなかった。お前さん、何が良い?」
「そう言われても、何があるか分からないのに、具体的な希望は出せないですよ。」
「それもそうじゃな。」
「あ!そうだ!!これから当分の間、逃亡生活になりそうだから、周囲の警戒ができると嬉しいんですけど。」
「え……?お前さん、欲が無いのう。」
おじいさんは、顔のしわを一段と深くして、俺の顔を覗き込んだ。
「でもまぁ……現実的で宜しい!」
「あ、ありがとうございます。」
良かった~。
期待外れのお願いに機嫌を悪くしたわけじゃなった。
教えてくれる気になっている人の御機嫌を損ねるのは、こっちも大損だからな。危ない危ない。
「さっきお前さんに入った光の体、あれは光の粒子が集まって出来ている。」
「例えば、一か所を偵察したいなら、一つの粒子を偵察したい場所に飛ばせば良い。もちろん、自分からの距離を維持するように漂わせることもできる。」
「なるほど……ちなみに、その光の粒子を一つ飛ばすと、どのくらい負担が私にかかりますか?」
「別に……大した負担になりゃせん。光の粒子は、肉眼では見えないほど極めて微小だからな。それが、無数に集まって、ぎっしり詰まって、さっきの光の体が出来ておる……分かるか?」
「何となく分かりました。で、それを行う時には、何かしなきゃですか?特定の呪文の詠唱とか、何からの身振り手振りみたいな……」
「何も無いぞ。もちろん、「光の粒子、発射」とか言いたければ言っても良いぞ。単に、偵察用の光の粒子を飛ばす、そう考えるだけで、粒子は飛んでいく。」
「それは……便利そうですね。明日トライしてみます。って言うのと、もしかして、これで私は【白き理☆1】ですか?」
「気が早いわ!明日実際にやってみて、上手くできたら☆1じゃ」
よし!頑張るぞ!!
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