第24話 白いお爺さん その2
「こっちに来てから、訳の分からない事ばかりだぁ……」
つい自分の夢の中ならばいいかと、思わず地面に座り込んで、吐露しまった。
「今、こっちに来てからって言ったか?」
隣に座り込んだ白いじいさんが、俺の顔を覗き込みながら訊いてきた。
「あ……まぁいっか。」
それから白いじいさんに全てを話した。
激しい腹痛で叩き起こされて、尻から血便からの出血で死んだっぽいことから始めて…気が付いたらラゴイルで…テスト結果は“空”だったというところまで。
話始めちゃったから、その勢いのまま話切ったが、改めて語ると、顔から火が出るほど恥ずかしい死に様だわ。
死に様は生き方を映す鏡ってフレーズを、このお爺さんが知らないことを祈るばかりだ……
「知っとるぞ。」
「え?」
「まぁ、正確には聞いたことがあるという感じかのう。居るんじゃな~、転生者って……」
「そ、そっち?」
「どっちじゃ?」
「なんでもないです。こっちの話です。すいません。」
「まぁ、いいか。お前さんも大変じゃったな……」
「そう…ですね…」
「なるほどな~、お前さんが転生者ねぇ……まぁ、それなら、空っぽってのも無理ないかもしれん。」
「またそれですか?」
「まぁまぁ、落ち着け。」
「空っぽの意味、ちゃんと説明してくれる気になりました?」
「そうじゃな。何も証拠の無い話だから、信じるかどうかはお前さん次第だがな。」
「そうなんですけど……」
どうせ自分で確かめようにも、確かめる手段が思い付かないし……
仮に思い付いたとしても、それの結果が信じるに足りるものかは別だし……
それならばいっそ、この世界の住民から聞き、その内容と、語っている仕草から、信じるに足りるか判断する方が、アプローチとして良い様な気がする。だから……
「その辺は大丈夫ですから、是非お聞かせください。」
「わかった。では儂の見立てを話すとするか。」
「お願いします。」
オホンッ
おじいさんは一つ咳払いをした。
「要するに、ラゴイルは死んだんじゃ。で、魂が抜けた。」
「魂にラゴイルの色々がくっついていたから、魂が抜けたときに丸ごと抜けたんじゃ。で、丸腰のお前さんの魂が入った。」
「ここまでは、良いか?」
だいぶ端折られているような気がするなぁ……
「すいません、ラゴイルの色々?丸腰?」
「そうじゃ、分かり易く言えば……ラゴイルのスキル、魔法、技術とかじゃな。それが抜けた後に、なーんも習得していない丸腰のお前さんが入ったじゃな。お前さんに、この世界での生きて修得したものがあれば、話は違かったんじゃろうけどのう。」
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