第6社 なんかヤバいのに絡まれました part2

 今は学校近くの停留所でバスが来るのを待っている最中。


 先生にあぁ言ったは良いものの、どうしようかな……。


 徐にポケットからスマホを取り出すと、検索アプリを開ける。自分はみんなみたいに、オープンキャンパスなんて行く暇なかったからな……。どこの高校が良いのかも分からないし、夏休みは神社関係で大忙しだったし。

 

 でも、改めて考えてみると、マジで終わってるな自分。こんなことなら面倒臭がらずにオープンキャンパス行っとくんだった。けど、今になって後悔しても遅いんだよね。


 泣く泣く高校の一覧が載ったサイトにアクセスする。

 

 そういえば、結奈と舞衣は高専だっけ。別に高校じゃなくても良いんだしね。なんか良いのないかな~。

 

 さっそく検索しようとスマホを操作していると、バスがやって来た。一旦スマホを見るのを止めて、バスに乗り込む。


 相変わらず人が多い……。まぁ、今の時間ラッシュだから仕方ないけど。

 

 再びスマホを取り出して、時間を確認する。時刻は午後6時。冬場だからか辺りはとっくに真っ暗で、街灯の光と嵐山駅の方に移動する観光客の姿が車窓から見える。


 あんな人の多いところを歩くよりはマシか。早めにバス通学へ切り替えて正解だったな~。さてと、続き続き。


 「高等専門学校 一覧」と検索をかけてみる。すると、案外多くの学校が表示された。スクロールして見ていくと、結奈や舞衣の進路先も見受けられる。


 へぇ~、2人はこんなところに行くのか。


 学校のホームページを見ていると、画面に通知が表示された。どうやら舞衣が管理している身内のサイトからのようだ。私は通知をタップしてメッセージを確認する。


 結奈:秋葉~、進路の件どうなった?

 舞衣:どうせまた、怒られたんでしょ~。

 秋葉:なんで分かったし。

 舞衣:いや、分かるでしょ。それで決まったの?

 秋葉:まだだよ。謝り倒したら、期限明日まで伸ばしてくれた。

 結奈:いや草。

 秋葉:そういうわけだから、帰ったら考えまーす。

 舞衣:よーし、それじゃあ秋葉の監視しますか。

 結奈:良いな。サボらないようにあたしらが見張らないと。

 秋葉:え、ちょっと⁉

 

 なんで監視されることになってるんだ……。


 画面を見ながら困惑していると、渡月橋に着いたのかバスが止まった。ICカードを精算機にタップして、バスから降りる。


「はぁ……疲れた。ここから山道登るのキツイんですけど」

 

 渡月橋を渡り切り、そのまま神社のある山の麓へと歩き出す。しばらく進むと、神社のある嵐山が見えてきた。視界に映る古い看板には、この先北桜神社と書かれた文字が。辺りは真っ暗で、渡月橋付近とは違って街灯も少ないので、スマホのライトをつける。


「うっし。帰ったら進路のことやらないといけないし、さっさと登っちゃお」


 てか、あの看板そろそろ新しいのに取り換えた方が良いな。今度材料集めて作らなきゃ。


 秋葉は先ほどの看板がボロボロになっていることを思い出しながら、山道を歩く。


 この道って足場が悪いから歩きづらいんだよね……。ガードレールは一応あるから、落ちる心配とかはないんだけど。業者に頼んで道の舗装してもらった方が良いよね……。でも、うちにそんな資金ないしな……。あ、そうだ。こういうときのエルじゃん!

 

「おーい、エル。ちょっと頼みたいことがあるんだけど……」


 歩きながら近くにいるであろう、エルへ声をかける。少し待ってみるが、返事がない。


 あれ? どうしたんだろ……。普段ならすぐ応じてくれるのに。


「ねぇ、エル?」


 もう一度声をかけてみるが、応答がない。


 もしかして4時間目のとき、キツめに当たっちゃったから拗ねてるとか? でも、あいつそんなことで拗ねる玉かな……。

 

 そう考えこんでいたら、急に辺りが霧に包まれた。今は冬だけど、突然霧が発生することなんてないし、今日はまだ暖かい方だ。霧が発生すること自体おかしい。


 歩きながら周囲を警戒していると、後ろの方から異様な気配を感じた。


 この気配……エルじゃない。何がいるのかは気になるけど、こういうときは振り向いちゃだめって、おばあちゃんが言ってたし……。取り敢えず、早く家に帰ろう。


 視界が悪い中、後ろの存在に対して無視をしながら、スマホの明かりを頼りに歩いていく。けど、真っ暗なスマホの画面の反射で後ろにいるのが、人ではないことを知ってしまった私はヒュッ! っと息を呑んだ。

 スマホ画面に映っているのは、グロテスクな見た目の異形だった。具体的に言ったら、腕や足の関節がおかしな方向に曲がってたり、目が体中にいくつもあるかなりヤバいやつだ。

 

 え、何あれ⁉ 明らか人じゃないよね⁉ 失礼かもしれないけど、どっちかっていうとエルみたいな人外の類だよね⁉ しかも、なんか気持ち悪い見た目してるし……。マジで無理。

 てか、声出してない私偉くない? あんなの見たら叫ぶぞ⁉ じゃなくてどうしたら良いの! え、逃げる? でも、気づかれるのも嫌だしな……。


 声が出せない代わりに、内心で呟きまくる。取り敢えず、前へ進むことだけを頭に入れて、私は足を進めるのだった。




――――――――――――

面白かったらレビュー・ブックマーク、また応援コメントの方に「(*>ω<*)♡」と送って貰えれば、モチベに繋がります!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る