第2社 ぼっちにとって友達は神様的存在
過去へ遡り2年前の春。中学1年生の私は、祖母の
そう意気込んで教室に入ったのだが、それは杞憂に終わった。席についた途端、クラスメイトの1人が話しかけてくれたからだ。
自分から話しかけに行くのが絶望的に下手な私は、そのとき天を仰ぎそうになった。ギリギリで踏みとどまった自分は偉いと思う。その後、クラスメイトの子と話すうちに気が合い、無事に友達となることに成功した。
授業が終わり、あ~、友達って良いな~! と、テンション爆上がりの状態で家までの道を歩いていたら、私はあることを思い出した。
そういや私、おばあちゃんが亡くなったからもう独りなんだった。
先ほどまでのテンションはどこに行ったんだというぐらい、テンションが一気に下がり始める。母と父は私が幼いころに亡くなり、ずっと祖母に育てられてきた。けど、今はその祖母もいない。まだ、中学生1年生という身で一体どう生きれば良いのか。つい先日まで小学生だった私には、当然見当もつかなかった。
施設に行けと言われればそれまでだし、葬儀の際に何人かの大人たちからそう言われたが、私は今の家が好きなので離れたくない。
となると、残るは1つ。祖母の昔からの知り合いで、自分も何度か会ったことのある
葬儀の際に「何かあったらいつでも頼ってくれてかまわない」と言ってくれたし、さっそく帰ったら電話かけてみようかな。頼っても良い人には存分に頼らないともったいないしね!
そう思いながら歩いていると、
なんで嵐山ってこんなに人が多いんだろ。いや、観光地だからってのは分かってるんだけどさ。にしても多すぎでしょ。
内心、文句を垂れながら前に進むこと3分。やっと橋を渡り終えたので、一目散に家へと直行する。取り敢えず、帰ったら今後のことをおじさんに相談しよう。
歩くこと15分。山の麓に位置している家についた。私の家は神社なので、鳥居を潜って境内に入り、社家の方へと足を進める。
「やっとついた……。にしても、流石にキツイな。山道の坂登るの」
そういえば、渡月橋から学校までバスが通ってたはずだ。それに乗れば少しは楽になるだろうから、明日からはバスに乗っていこう。
そう決めると、通学鞄の中から鍵を探して玄関の鍵を開けた。
「ただいまー」
中に入るが、当然誰もいない。逆に誰かいる方がおかしいんだけど。靴を脱ぐと、真っ先に洗面台へと向かい、手洗いうがいを済ませる。こういうところは、しっかりするタイプだ。
授業中はサボってるけど。あれは仕方ない。つまらないのが悪いんだよ。
廊下を歩いた先に自室があるので、そこに向かう。が、ここである違和感を感じた。
「ん? なんだろ……。なんかいる……?」
まさか強盗とかじゃないよね? 私1人じゃ絶対対処できないけど、一応武器になるもの持っといた方がいっか……。
急いで掃除用具のある洗面所へ戻ると、箒を取り出し自室へ向かった。恐る恐る自室に近づき、扉を開けようとドアノブに手をかける。
落ち着け……。大丈夫。戦闘はアニメで何回も見てきたじゃん。流石にアニメのキャラまではいかないけど、それなりに戦えはする……と思う。
自分を落ち着かせてから、一気に扉を開ける。けど、中には誰もいない。どこかに隠れた可能性もあるので、一応警戒しながら中へと入っていく。だが、人の気配は感じない。
あれ? 気のせいか……? え、でもなんか感じたんだけど。
私は首を傾げる。周りを見回しても、特に変わった様子はない。けど、何かの気配はまだ微かに感じる。
『やぁやぁ、お邪魔してるよ』
「だ、誰⁉」
突然、頭の中に声が響いたので、箒を構える。相手の姿は見えないし、どこから話しかけているのかも分からないので、いっそう警戒を強める。
『そんなに警戒しなくても良いじゃん』
「いや、するわ! てか、こういうときは……っと」
私は、急いで制服のポケットに仕舞ってあったスマホを取り出した。そして、おじさんの番号に電話をかけるために、電話帳アプリのマークをタップする。
『ちょーっと待った!』
「見るからに不審者……。てか、姿も見えないやつに止められる筋合いないんですけど⁉」
『まぁまぁ、危害を加えるつもりはないからさ。ちょーっとだけ話聞いてよ。ね?』
頭に響いている声を聴いた私は、観念して相手の話を聞くことにするのだった。
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