〜過去編➓るしあ〜

マリンは、前船長の家がある土地まで間違えずに辿り着くと、そこで一旦、一味にお別れを言った。

「済まんが諸君、自由にするのは結構だが、一夜だけで良い。今日までの事は忘れてくれないか。」

そう言うとマリンは、其の土地にある唯一の家に行った。表札があり、「麗羽」と書いてあった。

 

其処では、少女が一人で暮らしていた。

 

其の少女の名前はるしあと言った。

 

マリンは直ぐにるしあと仲が良くなり、一晩中るしあと共に過ごした。

 

マリンは決めていた。この娘と航海に出ると。

人と接する仕事を辞め、人を殺めても尚、この少女と出会ったが故に、マリンは人と接するのが好きになった。

 

そして、るしあに航海の話を持ち出し、持って行く物は無いかと尋ねた。そうすると、

「お父さんもね航海をしてるの。」

そう言って一枚の写真を持って来てくれた。マリンも良く知った写真だった。

おずおずと、其れを持って行くの、と尋ねたら、悪いの?と言われ、一瞬険悪な表情が女性から漂った。

 

「何でも歓迎するよー。」

そう言ったら、るしあは家にある家財全て持って行きたいと言い出した。

 

そうこうしている内にマリンはるしあを船に連れて行った。

 

「わ〜大っい〜。」

 

マリンが前の船長から奪った海賊帽を序でにと見せた時からだろうか。そうして、いつの間にかるしあの目の色は赤く染まっていた。

 

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