〜過去編❺遠泳〜

 マリンは泳いだ。体力が無くなる前ではなく、無くなった後に来た常に温まっている身体を選んで。

 

(次の離れ小島まで、あと数百メートルちょい。イケる。大きな島からは遠ざかるかもしれないけど、次の島には新しい刺激が少なからずきっとあるから––。

 

 其れはそうだった。マリンが辿り着いたのは、太古のプレートテクトニクスで出来上がった群島の端の島であり、そのまま真っ直ぐ道なりに行けば、元の島に戻れる位置だったからであり、荷物を失ったマリンは精神的に身軽に、気持ち良さそうに泳いでいるマリンは知らないと思うが、そのまま真っ直ぐに行かなかった場合、確実にもう一本、遭難するのだ。人生という道を。

 

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