魔王

 星街すいせい「ヤッホー」

 

 突如として青髪の痩身者に気軽なノリの声を掛けられた。

「彗星のごとくやって来た星街すいせいです。」

「すいちゃんは〜、今日も可愛い〜。」

 

 という訳で、ここでバチコリとポージングを決めていくゥ〜。

 

 本来ならば誰しもが唖然とする中で、マリン船長だけはるしあと同じ匂いに気が付く。

 

 星街すいせい「ここからは私の占い次第で〜す。」

 

 とまあ、こんな感じで初対面なのに離してくれない訳だが、

「ジャジャーン。てれりれりれれ〜てれりれりれれ〜れれ〜れり〜れり〜れり〜れりご〜」

 

 自分風にアレンジしたお馴染みの曲を鼻歌混じりに演奏して行く星街すいせいさん。

天球が描かれた占いの玉?が注目を集めている。

「何と快・晴・です。お二人の仲は最高に素晴らしい。」

 

 と占いの結果を発表すると、

「それじゃあまたね〜」

 

 帰って行った。

 

 〜隣街〜

 

 占い師・星街すいせいが住むその街は、城下町と比べると些か不安の残る大きさだったが、華やかで快適だった。

 

 城下町とは道路でつながっており、今風の隣街と城下町との間のレトロな建物が残る幹線道路、そして歴史を思わせるお城と宿屋が立ってある街があった。

 

 どちらも華厳だが、主に肉食系女子はその街から離れたところにある山と森と野原と海に集まっていた。だからこそ、その様な声が聞こえる筈が無かった。

 

 白神フブキ「えへへ〜食べちゃうぞ〜」

 

 わためぇ「ぎゃー!!」←

 

 そんな事は尻目にと、マリン達は大きな川に船を乗せてゆったりと一味と一緒に漕いで行く。

 

 白神フブキ「えいっ。(かぷっ)」

 

 ヤゴー「待ち給え。」

「礼を仕損じる。白神フブキ。汝を大空の案件として取り扱わせて貰う。」

「既に4名程手配済みだ。逃げられると思わないで欲しい。」

 

 大神ミオ「いきなり!?」

 

 白神神社に住んでいると噂されて来た白神フブキが、羊飼い・わためぇを襲っている、と思いきや、魔王姿の逸般人・谷郷元昭が白神フブキの目の前に立ち塞がった。

 

 谷郷元昭…通称ヤゴー。大空建設の社長が名付けた事で有名な模範的な魔王である。

 

 白「ヤゴー。何を持って先達と後塵の違いを見間違うか。」

 

 ヤゴー「今日で汝は終わりだ。今すぐにわためぇを離しなさい。」

 

 白「それが最後の台詞にならない事を祈るね。」

 

 わ「はひっはひっ…はふぅっ……」

 

 白「じゃあ、行くね。」

 

 刀剣一線、魔王ヤゴーに向けて無窮の蓮撃!

 

 魔王は手に魔力を乗せ、撃ち放つと、元国王フブキングの蓮撃を回避して行く。刹那、大神ミオの変身が開く。ゴジしゃ…小さなゴジラ化し、闇の放射能・龍属性でできてしまった隣人・大神ミオは魔王魔王の魔力を喰らい尽くそうとしては、放射能熱戦に変え、魔王・やゴーの体を焼いた!!……かと思いきや、全身に施された刻印と肩から下げている魔力で編まれた細いマフラーに依って、完全な迄に無力化……!!無傷!圧倒的生還!!!

 

 白「助太刀無用。」

 

 ミームクイーン・白神のフブキングは物理的な技量のみで渡り合っているが、こちらにも秘策はある。だが、それは今回はお預けの様だ。どうやらわためぇが琴を取り出して、演じるのだ。

 

 わ「戯曲・愉快な仲間達。お聞き下さい。」

 

 ポロロン ポロ ポロン ポロン ポロ–ン ポロン ポロロン ポロ ………

 

 魔王「むっ。これは。」

 

 白「アレ?何だか、戦う気が薄れて来たぞ…ふわ〜ぁ。じゅるり…」

 

 自前の羊達から収穫した素材で形作られた堅琴の音色は、戦う者全ての力を削いだが、肉食本能迄は抑え込めなかった模様だ。

 

 白「えへへ〜食べちゃうぞ。食べちゃうぞ〜。」

 

 魔王「待ちなさい!」

 

 あのフブキングがわためぇに襲い掛かるその瞬間、ときのそらが現れた。

 

 すると、ときのそらは、咄嗟に止めようとしていた魔王ヤゴーの魔弾を一身に受けてしまった!!!

 

 そら「く…はっ……」

 

 白「そらちゃん!!」

「くっ…私が悪かった。謝るから、ヤゴーは離れてて!!!!!」

 

 ヤゴー「えっあっ。済みません…」

 

 白「ごめんなさい。そらちゃん!私が身勝手にわためぇの羊毛を…」

 

 わためぇは羅生門だった。

 

 そんな快晴の折、夏色まつりは肩を落としながら坂をゆっくりと登って来た。

「あっちーだりー…」

 

 わ「はっ!またしても女子おなごが。」

 

 大神ミオ「わ〜まつり、来てくれたんだね。」

 

 夏色まつり「ン?何事?」

 

 大神ミオ「実はかくかくしかじかで」

 

 夏色まつり「何!許せん!魔王処すべし!!!」

 

 ある晴れた朝日は、最後まで、わためぇの羊毛を脱がす事は無かっただろうと、今になってみれば付け加える事はできる。

「ヨーソロ〜」

 

 猿と一味と羊皮紙(貿易で手に入れた)と、そしてるしあ。

 

 マリンの旅はまだまだ続くのだろうと。

 

 差し当たってフブキングやヤゴーとはお別れの程を。

 

 遠くから、希望が無いからと、大神ミオと夏色まつりも手を振ってくれて居た。

 

 その後、ヤゴーは全界隈から大バッシングを受け、魔王が統括する案件の6割を表社会、2割を裏社会に明け渡す事になり、連日取り沙汰されたが、街を歩く時もマスクとサングラスが必要になる訳では無かった。

 

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