温泉
洞窟は裏山の中腹辺りにあった。其処から少し行くと、彼女達の集会場所に辿り着くのだが、二人とも知る由はなく……その集会場所で、るしあは猿達に囲まれて寝ていたのだが、当然これも知る事はなかった。
るしあを探していると、先程見た猿達の気配が感じられないことに気が付いた。
するとマリンは咄嗟に後ろを振り向き、
「居る…」
駆け出した。
ガイドの無い初めての未開の山の中では踏破困難、遭難が最も危惧されることであり、常に水流や大気の水分を肌感覚で良いからチェックして置きたい所だ。その能力はマリンにもあった。海賊業をやっていると潮風に巻かれて時折、淡水の匂いに気が付く。今回もそうだった。
近くから熱の匂いがした。
無論、るしあの其れでは無い。だが、マリンには予感があった。
果たして、その予感は当たっていた。
見ると、猿の群れが地面から湧き出た湯の源泉に入り浸って居た。
マ「おいこら!猿共!るしあをどこやった!」
聞いた所で何も得られるものは無いだろうに、マリンはしかして叫んだ。
「るしあー。」
「くそっ」
特に返事もなく、清閑とする温泉。
すると、これ又、奥の方からぴょこんとよく知った耳が。
気が付かない内に追い越されてしまった様だ。
「マリ〜ン、こっち来るぺこよ。早く!」
ぺこーらが憔悴気味にマリンを急かす。
すると温泉からも街がよく見えた。絶景だった。
だがよく見ると兎田建設の方から煙火が見えた。更によく見ると旗が燃やされている事に気が付いた。戦争だった。
そうすると背後から一人の女性が近付いてはこう言った。
ラミィ「早く行った方が良いよ。」
マ「分かってらい!」
「ありがとう。見知らぬ人」
ラ「どういたしましてと言いたい所だけど、仕方が無いからだね。あっ。」
マリンとぺこーらが街の方に戻って直ぐにときのそらが時空を越えてやって来た。
ラ「あの…」
ときのそら「大体の事情は察したから、大丈夫。」
ときのそらは気を取り直すと、其処から様子を伺った。
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