8.ふたり旅(1/2)
一体何に終止符を打てば良いのだろうか
いや 何を終わりと呼ぶべきか 又は
一体何なら終わりと呼んで良いのか
僕はそこら辺の事を一切知らなかった
だから きっと その所為で
終わりなき旅を続ける事も
いつの間にか旅に終わりを告げる事すら
決められないまま 今が過ぎて行く
無数の今に終止符が打てるはずなのに
やって来る今が大事に見えて
どれも失いたくないと思ってしまう
旅に出れば何れ終わりが来ると思っていたが
今やって来る今は「今」であって「終わり」ではない
それがやって来るまで待つかどうか
決められないのを 一体誰の所為にすれば?
一切の選択を誰に託せば 正解なのだろう
瞬間を 一瞬を 1秒を 必然的に逃す僕
ただ今を「今」としてしか受け入れず
それ以外の捕らえ方をしようとしない
生にしがみ付いて 「今」に縋って
僕は旅を続けている
――終わる事は許されない
誰が決めたのか そして
誰が選んだのか
ずっと 何も知らない振りはできそうにない
いつかは終止符を打たなければ
僕は旅をも終えられないだろう
無数の「今」から一つだけ選んで それを
「終わり」としなければならない今を
旅でもするかのように 僕は歩き続け
それが始めから「終わりなど無い」と
決められているものだと知っていたのなら
それを選ばず 何を選んでいただろう
選べる何かがあるのなら
瞬間を 一瞬を 1秒を 絶対的に大事にして
僕は旅の中訪れた「今」に終止符を打ち
「今」と呼ばれる旅を終えようと思う
――終わる事は許されない それは
たぶん僕が決めたこと 選んだこと
始めから「終わりなど無い」と
僕に気付かれないように 僕が決めていた
選べる何かは無かったのに
旅に出る前に「終わり」を失くしてしまった時から
「今」は続いていた 旅の中歩き続け
いずれやって来てしまった終わりを前にして 僕は
結局 何もする事ができない そして
やはり 僕に気付かれないように後退りする影
それは 「終わり」をまた失くしてしまったかのように
さっき見つけたばかりのそれを ポケットに仕舞う
きっとその影は今頃旅路に着き 再び歩き始めた
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