6.汚れた重さ
すぐに歩き出せれば良いのだけれど
足の重さが気になって ふと靴を見た
何ら変わりのない 汚れた靴
よほど軽いわけじゃないが
重くはないはずの 僕の両足
全てを踏みつくして だけど
大事なものだけは避けてきた
それが今になって 重みとなって遣って来たのだろうか
草を踏むように軽く
何も気にしないで 歩いて来た 今まで
一度立ち止まってしまった 今となっては
ずっと歩いて来られた事が 不思議で堪らなかった
汚れがこびり付いて きっと もう離れてはくれないだろう
草の上の空気も踏んだ気がするし それに
避けてきたものが 今 大事かどうかも分らない
本当に全てを踏んで歩いて来たのなら
もう とっくの昔に立ち止まっているはずだから
今まで それにとっては重く 僕にとっては軽く踏んだ何かも
僕の靴に汚れとなってこびり付いていた
何もかも 最初から受け止めていれば 今も歩き続けられていたかもしれない
何もかも 避けていれば 一度も立ち止まらなかったかもしれない
大事なものを避けてきたつもりだったけど
本当は 大事なものは足場として良くなかっただけじゃないだろうか
もしそうなら 僕が立ち止まってしまったのは
目の前にある 次の足場が悪いからで
それか 本当に靴にこびり付いていた汚れが
今も僕を歩かせていないのなら
すぐにでも 靴を脱ぎ捨てればいい
でも「今」と言っていた先ほどから時の経った今は
別に歩き出したいとは思わなくなっていたから
僕は 靴をどうしても脱ぎ捨てられない
足の重さが何れなくなる事を 期待して
それこそ 時と言うものが汚れを落としてくれるまで 待つつもりだ
これから踏むのは 大事なものにしよう
立ち止まってしまわないように 罪悪感や後悔に追われて・・・
そしたら きっと 歩き続けられる
もう 一度だって立ち止まらずに済む
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