第6話
とりあえず登録者ランキング上位の探索者の攻略動画を閲覧する。
「…う〜ん、パッとしないなぁ」
モンスターと確かに戦えている。だけど、敵はたかがハイオーク。豚がちょっと力と知能を得ただけの木偶の坊に対して、無駄に低威力のスキルを蓮発。5分くらい掛けて討伐していた。
…1位でコレ?
訂正。パッとしないじゃない。
雑魚だ。
あんなんデコピン一発でしょうに…ダンジョン出現から3年も経過してるのにこの弱さは、正直情けないと思います。
「他の人も見てみようか」
ランキング上位から下に下にと遡る。
やはり、現代日本で血生臭いダンジョン攻略動画は男性の方が多い印象だ。元にランキング上位の殆どは男性。まぁ危ないし怪我のリスクを考えるとねぇ…
男性に興味がないので検索詳細で男性探索者を外す。
男性探索者が一掃され、女性探索者だけのランキングに早変わりした。
「花があるね!」
やっぱ女の子よ。
戦闘技術とかそっちのけで、顔で選ぶ。可愛い女の子を見たいから。
って事で、顔が良くて髪が長くて胸が大きい可愛い系で私好みの女を見つけ【yoruna mio《よるな みお》:ダンジョン攻略アイドルちゃんねる‼︎】を開く。丁度、LIVE配信中らしく700人以上の視聴者たちのコメントに反応しながらダンジョンを探索していた。
…立ち振る舞いからして1位よりもステータスが遥かに低い事が見て取れるのに、ダンジョン内でコメントを見る余裕があるらしい。探知系スキルがあれば出来るだろうが、発動している様子は無い。
若しくは取得していない。
弱者はちょっとの油断で死ぬ場所なのに…良くやるよこの子。肝が座ってる様だ。
まぁ雰囲気的に
『「いつも見たいに
「っ⁉︎」
思わず湯船から立ち上がり、お湯が溢れる。バシャっと大きな音が鳴ったが、そんな事よりも画面に釘付けになった。
み:『いくらお酒大好きなmioでも、流石に弁えてるよ。てか協会で禁止されてるし。AIに通報されて罰則とか嫌だよ。あ〜でも、お酒の話されたから飲みたくなっちゃったな〜…帰ったら飲もっかなぁ〜…久々に晩酌配信でもするかぁ!』
米:よっ待ってました!
米:言うて3日前に晩酌したばかりよ?w
米:飲酒の罰則って探索禁止一週間だっけ?
米:↑それに+して罰金50万やで
米:たっか…良いお酒何本も買えるじゃん
米:今日はなに飲むの?
み:『飲むお酒?ん〜………大吟醸【猪鹿蝶】かなぁ!最近奮発してもう一本買っちゃったんだよ!前回飲んだ時の味が忘れられなくてねぇ…』
米:お高いやつじゃん
米:良いねぇ!
米:お幾らなの?
米:一升瓶なら大体7〜8万くらい
米:たっっっっ
米:それをmioちゃんは一晩で飲んでしまうんよw
米:見てて気持ちの良い飲みっぷりよ?
み:『ぶっちゃけお酒買う為にダンジョン潜ってるまである』
米:アイドルとは()
米:草
米:草
米:【>— お酒代/100000円 —<】
み:『わぁ〜‼︎お酒代ありがとぅ♡良いお酒買ったらTemitterで報告するね!』
米:良いお手紙!
米:ナイ手〜
わいわい盛り上がる彼女とコメ欄を他所に、真希は震えた。
「この娘……
御酒乃澪。あだ名は、お酒飲み男
彼女は前前世の世界線で、当時日本のビック3VTuberアイドル事務所の一角であるキラキラに所属。
シベリアの奥地・秘境に存在する村から飛び出し、
尚、某スパークリング日本酒とは無関係。しかし、当時の世界線ではコラボしていた。私も飲んだことあるけど美味しかった記憶がある。
可愛い限定ラベルのデザインだったので、空き瓶を自宅に飾っていた。
閑話休題。
今世の活動名はmio。本名は
そして最も重要な情報だが…彼女は私の最推しである。
「リアルの容姿も可愛い…♡」
彼女は、夜空を連想させる長く美しい黒髪を持ち、太ももまでさらさら伸びている。青い瞳は澄み渡った氷湖を思わせる冷たさと美しさを併せ持つ。
外見は可愛い系の美人で、身長は157cm。バランスの取れた体型に、胸は豊か。何カップか紹介されてなかったが、鑑定した結果Gカップと判明した。
大変素晴らしい。
しかしその見た目に反して彼女の性格は基本的にやさしいが、ドSな一面も持っており、そのギャップに私は堕とされたと言っても過言でない。
いやしかし、過去だから当然存在しているとは思ってたけど、まさかVTuberではなく殺伐とした探索者になってるなんて想像も付かなかった。
彼女は狼種なのにも関わらず、狩りや調理で”血や臓腑を見るのが苦手”とプロフィールにも記載されているくらいには生物の殺傷を忌避していたきらいがあった。
尚、既に精肉の状態ならば全く問題ないとのこと。
しかし今では…腰に血の後が残るナイフを装備していることから、その様な感情を抱いていないのだろう。一体、何があったのか…追々調べよう。
さて。
パッと調べた限り、この世界にも同名の事務所キラキラは存在する様だが今世は過去世界なので、まだ始動して1年経つかどうか。
つまりV1期生がデビューして間もない頃だろう。澪ちゃんが6期生としてデビューし活動を始めるのが大体4年後と記憶している。
…この様子だと、Vとしてデビューするかどうかわからないなぁ。彼女のリアルの姿も最高に可愛いが、流石大手事務所なだけあってモデルは超有名絵師さんが手がけており、Vの姿も中々に可愛かった。
今世では見ることができないかもしれない…私の記憶から転写したイラストを元に個人依頼として制作してもらおうかな?
まぁそれは兎も角。
私は興奮していた。
「澪ちゃんを…私のものにしよう」
前前世では叶わなかった夢。きっと推しがいるなら誰もが一度は夢想するだろう夢。
そう、それは…推しを本当の嫁にする事。
私は彼女をデビュー当初からずっと見てきた。前前世の世界で、彼女の歌声に励まされ、笑顔に救われた。いつも画面の向こうの更に向こう側にいた彼女が…
今こうして現実の目の前にいる。
前前世の頃の無力な私じゃなく強くなった私は、
前前世では手の届かなかった尊い存在に、今なら届く。
彼女の存在を知ったからには…ただ見ているだけでは満足なんてできない。私が彼女を捕え、守り、支え、そして深く愛する。彼女の悲しみも、喜びも…喜怒哀楽のすべてを共有する。
澪ちゃんを今こそ手に入れる時だ。彼女を幸せにできるのは、私しかいない。
最初はスキルとか使わないでの接触するけど…もし叶わなかったら迷わず
まずはどうやって接触しようか…未来視を使って、私が干渉してない状態の今後の彼女を視る。
おや、これは…(ニタァ)
将来的に起こりうる
「ふふ、楽しくなってきたじゃないですか」
まずは仕込みをしなくちゃね。
真希はニヤつきながらお風呂を出た。
…こうして
真希からは逃げられない。
尚、澪ちゃん以外にも推しはいるので、その子達もいずれ獲得する予定。
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k2(けにー)です。
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宜しくお願いします。
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