第13話 思いで小話、ドナドナ❷

 小学5年位の時、クラスで、朝の会というのが毎日、1限の前にあった。担任からの連絡などをするホームルーム的な奴だ。

 その中で、ウチのクラスは、まず始めに「朝の歌」つまり「合唱」がプログラムにあった。


 誰が考えたかわからないが、生活係とか、そのあたりの児童の活動の一環だったのではないか。


 合唱で歌う歌は、くじ引きで決定された。BOXにいつでも自由に児童達が歌いたい歌をメモに記して投函する方式なのである。


 実に微笑ましい行事というか習慣ではないか。


 一見そう思うのだが、この朝の歌のせいで、クラス全体が、不穏な空気に包まれることがたまにあった。


 有る時に、くじをひくと、曲は「ドナドナ」だった。

 この歌は、入れる児童が多かった。

多分なんとなく「ドナドナドナドナ」という意味不明なフレーズがかわっていて面白いから、ふざけて書いているのだ。

 子どもは意味不明なことが好きだ。

 ただ、問題は、そのドナドナの歌詞とさらには、メロディーにあった。非常に暗いのだ。


 「可愛そうな子牛売られていくよ〜。寂しそうな瞳でみているよ。ドナドナドナドナ子牛を乗せて。ドナドナドナ荷馬車が揺れる」


 ね?暗すぎる。朝から歌う歌詞でもメロディーでもないよ、

 どうしても、その歌を合唱すると、皆の声が小さくなり、暗く葬式みたいな雰囲気になった。


 そんとき担任のT先生が言い放った言葉が、今考えると、本当に的はずれで、本当にバカだなと思い、俺は今だに思い出す。


 「なんなんだ!歌うのが嫌だったら朝の会の歌なんて、やめてしまえ!」

 とブチ切れたのだった。


 「いや、むしろ、この歌を楽しく歌えるやつの精神鑑定をしろ!」


 選曲が悪い。見て聴けば、誰だって、わかるやろ。空気読めないんかなあ。


 余談になるが、T先生は今の時代では到底考えられないが、直ぐにキレて、直ぐに、みんなを整列させて順番にピンタをする暴力教師だった。

 この時代の体罰は、今なら児童虐待であり傷害罪になるが、さすがにもう時効なのだろう。会ったら説教してやりたいと今は思っている。T先生は死ぬまで俺から逃げたほうがいい。


 ただ、話はそれではなく、ドナドナは、楽しく歌える歌ではない。そう言う話だったのである。


 今日、毒舌だったかな🤔

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る