第2話 デパ地下のおばちゃん

 ある夕刻。私は某駅のデパ地下にいる。夕食を買いたいのだ。

 このデパ地下、片隅に、ちょうど8人がけのテーブルと小さなテーブルとソファ。珍しくイートインするスペースがあるのだ。素晴らしいではないか。


 よし!お弁当を物色して購入して、直ぐ様、食べてしまうのだ!

 欲望のままに、食欲全開のうち、直ちに、たべてしまうのだあ!


 メンチカツとハンバーグ弁当3割引きにまず目がいったのだが、よくよく考えると僕はダイエット中だし、あんま量を食べれない。


 結局、京樽の海鮮チラシ寿司にした。一番リーズナブルかつ華やか。880円である。近くの店で、京都ブレンド茶伊右衛門も購入した。お茶選びも重要なのだ。いかに美味しく食事をするか、全力なのである。


 しかし、今日の話しはデパ地下で購入して、イートインで食べた海鮮チラシ寿司が美味しかった…そういう話ではない。

 

 沢山のお惣菜、サラダ、甘味やお菓子の店舗が並ぶ中、地味に小さなスペースにお茶屋さんがポツリとあった。


 その中で、筒に入った手頃な値段の粉末茶が売っていたのだ。買いたい!


 それには、まず昨日の夜のこと、前段の説明が必要だろう。

 昨日の夜、何故か僕は、不意に熱いお茶、それも便利な粉のお茶を購入したいという欲求に駆られた。

 ただ、急須なんて持ってないし、お茶葉ではなく粉だ。お茶は粉の茶に限る。熱い苦い旨味あるお茶が飲みたい。常備したい、したい、したい。


 いつも僕は思いついたら直ぐ行動。


 イチローは言っていた。「今日やる事を明日にやれば良いと言う人は一生やれない」

 でも、これは明日やるのが正解でしょうね。正解をやらない男、木村れいなのだ。


 深夜に愛車ムーブコンテ君を走らせ、コンビニを2件、探して回った。コンテ君はゼェゼェと言っていた。


 しかし。だいたい予想はしていた。粉末の茶は、コンビニには、売ってなかった。コンビニにはティーバッグもしくは茶葉しかない。

 仕方なく又の機会をうががうことにしたわけだ。


 だからなのだ。このタイミングでちょうど目の前にお茶屋が出てきた。それも粉末茶が。それは、なんとも魅惑的だった。

 たまたま目の前にあちらから、お茶が歩いてきてくれたようなものだ。それが嬉しいではないか。


 「あの〜?これ、グリーンティーパワーって、英語で書いてあるんですが、なんで?」


 「あ〜。でも、粉末緑茶って日本語も書いてありますよ」


 「っていうか、これどこのお茶なんですか?外国?」


 「いえ静岡です。このお茶、人気あるんですよ」


 『人気がある』…俺はこの言葉に弱いのだ。即座に決断する。

 「じゃ、買います…」


 


 🤔さて、このお話、どこに小さな幸せがあったのか、読者の皆様は、

おわかりだろうか?


 先ほどにも話したが、ポイントはちょうど良いタイミングということ。


 そしてさらには、優しい雰囲気を醸し出すおばちゃんである。


 何か親しくて、良い気持ちで買えるよう促してくれたその言葉かけ。会話のキャッチボール。実に気持ち良かったのである。


 スーパーやコンビニで独り静かに粉末茶をそっと拾い出してカゴに入れるのではなく、目の前で人に勧められて購入する。その遣り取りな。それそれ。

 


 キラキラキラーン✨幸せ🫠




 

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