EX 人物人外紹介

浅木八幡(アサギ ヤハタ)

 本編主人公。お話は、S県の某大学に通う際、彼が家賃の安さに釣られて、ある部屋を借りた事から始まる。家族の影響から、突飛な物事に動じにくい性質。しかし一度動じてしまうと、自棄を起こすように強気な姿勢を取って対処しようとする。姉程に霊感が強いという訳ではないが、曰く部屋に馴染み過ぎた為に、霊的な現象に関わりやすくなっていく。隠れしすこん。

 彼が曰く付きの部屋の中で上手く順応出来たのは、そのありがたい名前のお陰もあるのだろう。



里香さん

 とある着せ替え人形に取り憑いた幽霊。生前の記憶は殆どなく、八幡が来る前の記憶もあまりない。部屋の主となった彼を「ご主人様」と呼ぶ、現メイド人形。

 メイド服を着たからか、元々の性格から来るものなのかは不明だが、主である八幡に尽くそうと積極的に行動する。部屋にある曰くを色々と見て来たようで、それに対する知識も多い。大人しい性質だが、部屋の主の為に実力行使で曰くに対する事もある。


 幽霊化してから百年程経っている。部屋に居る以前の経緯は不明だが、いつかの住人が持ち込んだりかさん人形に取り憑いてからこの部屋に住み着くようになった。


(大川貴里香(オオカワ キリカ))

 大日本帝国憲法が施行された頃の人物。この憲法では表向きには宗教の自由が述べられていたが、当時の世情では古来からあった神道、仏教以外の教えは未だに風当たりの強いものだった。

 彼女はキリスト教を信仰していた。表立って教会に赴くのはまだ抵抗のあった時代だったが、彼女は信念を持って教会に足を運んでいた。

 だがある時、その教会が暴漢達に襲われる。

 その時には彼女は助かり、犯人もとある外国籍の集団と発覚して事件は治まったが、その時教会に居た彼女の妹や友人は助からなかった。そして周囲の人間は「教会なんてものがあったから事件が起こってしまったのだ」とますます彼女達の教えに対して風当たりを強めた。

 その数年後、彼女の住む地域に非常に大きな地震が起こった。教会は半壊し、身近に死者も出た上、地震による火事場泥棒に教会を根こそぎ荒らされた。その中には、妹達の遺品などもあった。

 いつどんな時も何かを奪われて、信じる主は何も救いを与えてはくれない。

 彼女は絶望に陥り、遂には主の教えに反する大罪を犯す事になる。

 命を作り出した神に背く、大きな罪を犯した彼女は、教徒として葬儀される事も許されず、山の中でしばらく野晒しにされ、その後無縁仏として埋められた。

 葬儀されぬままだった彼女は決して救われる事なく、歪んだ形でこの世に居残り続ける事になった。彼女が“あの世”に行くという事は、キリストの教義においては地獄に落ちる事と同じだった。

 生前の記憶がすっかりなくなった今も、彼女は何かに取り憑きながら、この世にしがみ付き続けるしかなくなったのである。

 しかし、それさえも忘れる程時間の経った彼女は――、



お逆さん

 部屋の天井から長い黒髪をぶら下げてくる女幽霊。

 里香さんよりも新しい時代の幽霊。言葉は殆ど通じない。――ぅぁぁ……としか喋れないが、里香さんを始めとした幽霊達には言葉が解る様子。

 部屋の前住人が亡くなってしまった原因。


(××キミ)

 苗字不明。大正時代始めに起きた、とある殺人事件の被害者。

 天井から紐で足を括り付けられ、ぶら下げられたままの状態で発見された。犯人も未だに不明であり、彼女は恨みを晴らせぬままの怨霊となる。

 しかし死亡時の年齢がかなり若く、死亡時の詳細もおぼろげになっているので、理性は薄く残っており、見境なしに恨みをぶつける、という事もない。


 何十年後の未来にて。人形に取り憑いていた人形が目上という事もあって、少なくともその人形の言う事は聞く。彼女なりにこの部屋には馴染んでいるらしい。



コロすけ

 北の国からやってきたコロボックル人形、精形さん。

 曰く的に見えて、実体は幽霊などとは全く違う。どちらかというと妖怪的な存在。元々の持ち主の事もあって、実は結構な年代物。同じ部屋に住む人形と違い、言葉を喋る事が出来ない。


(???)

 名称不明。日本語に該当する言葉がない。

 元はアイヌで、死者に触れ合うシャーマンに近い性質の者だった。生前にあった自我は既に全く存在せず、現在の彼は、“陽気で人懐っこい”というコロボックルのイメージによって形作られた自我しかない。彼が喋れないのも、人間ではなく精霊コロボックルである、という自己前提が根本にある為。即ちこの精形には、何が取り憑いたとしても喋る事はない。



電話の怪異

 電話の向こうは見る事が出来ない。その“見えない”という不安から生まれたモノ。

 電話自身が意思を持って何かをする訳ではなく、不安というものを利用した“何者か”が、相手を恐怖させる手段として、この電話を使っている。



電話の幼子

 電話の“声”を通じて現れた幽霊。この当時、彼女の家での事件は既に表沙汰になっていたが、彼女は成仏出来ないままに八幡家の電話口に吸い寄せられた。

 一応実像を持って動く事が出来、一応普通の人間にも目撃されている。但し彼女の持つ電話は玩具の電話であり、“普通の電話”には絶対に繋がる事はない。



隙間女

 いわゆる都市伝説に語られる謎の女。箪笥などの家具の隙間や、ベッドの下に潜むパターンもある。但し八幡の部屋にはベッドがない。この隙間女は、部屋の家具の隙間から大きく出て来る事が出来ないでいる。

 彼女は都市伝説から生まれた妖怪であり、元になった話同様、その場に居て怖がらせる以上の事が出来ない。勿論誰かに危害を加える事も出来ない。それは当人が臆病な性格であるが故にである。



ハナコさん

 学校の怪談の代表格。学校のトイレに住み着く半ば妖怪と化しているモノ。怪談とは時と場所によって変化していくものであり、この大学ではいわゆる“赤い紙と青い紙”の当事者としても語られていた。

 性別は恐らく女の子。だがトイレという場を介するなら、男子用女子用関係なく現れる事が出来る。



ニノミヤキンジロウ

 働きながらも勉学に勤しむ、学生の鏡たる少年の像。勉学者のシンボルとして多くの学校に置かれていたりするが、その数と比例して曰く絡みの話も多い。夜中に歩き出す、行きと帰りで向いている方向が違っている、など。



影絵の女

“通りの神秘と憂愁”より、輪回しをする影の少女。元となった絵のレプリカが、八幡の通う大学にある。そこから抜け出して、夜な夜な校内を動き回っているという噂が元となった故の怪異。

 某ルパンの映画の如く、何をしたいのか目的が不明。全身真っ黒で、表情も解らない。走りはするのに足音もなく、只輪回しのかちかちという音だけを響かせる。

 理屈不明の恐怖が形となったモノ。



ヒトシクン(仮名)――ヒトシサン

 八幡の住む部屋に出入りする野良の茶トラ猫。取り敢えず普通の出生の雌猫。

 猫の眼には幽霊が映る――との言葉通り、部屋に居る普通以上の幽霊も見えていたりする。魚肉ソーセージは八幡が与えてからの好物。

 実は結構な齢で、十歳近い老猫(猫は生まれて十年を経ると、猫又になるものと言われる)。八幡に触れると霊視が出来るようになったのは、この猫が猫又に近くなっていた為。そして曰く付きの部屋に居た為。



???

 謎。人間には知覚の出来ない、恐ろしい何か。

 猫の眼には映る事から、猫にとっての幽霊や妖怪の類なのかも知れない。



テレビからの亡霊

 テレビの中から這い出て、見た者を呪い殺す亡霊――そんな“恐ろしいもの”の形は、有名になると同時に、世の中に“テレビから出て来る恐ろしいもの”という話の亜種を大量に生み出す切っ掛けともなった。

 この亡霊は、そうした話の亜種から生まれ、部屋の曰くに引き寄せられた自縛霊。

 自縛霊とは、本来死んだ場所、或いは想いを残した場所から離れられないでいるものだが、彼女は偶然にもテレビを通じて異なる場所に姿を現す事が出来るようになった。その上で亡霊として生きる(?)希望をくれた八幡に感謝しつつ、今日も彼女はテレビの中を渡り行く。



???

 ゲスト。イーハトーヴォ住民の女学生徒。八幡の通う大学内のとある教室に居るという噂があるが、その正体を知っている学生は居ない。

 部屋に出没する曰く付きに困っている八幡に、お守りとしてコロボックル精形を渡す。



浅木時子(アサギ トキコ)

 八幡の姉。AT本人。某大学文学科所属。

 超活動的。八幡が弟として生まれた瞬間から、絶対的姉として弟を散々振り回して来た。

 弟が大学に通う際、その近くで借りた曰く付き物件の話を聞き、「だったら怖くなくしてやんよ」と一つお話を書き上げた。一人暮らしを始めてから、想像以上に逞しく生きている弟をこっそりと誇らしげに思う日々。ぶらこん。


 このお話は、物書き志望の姉が、曰く付きの物件に住んでしまった弟から大まかな大筋だけを聞いて書き上げたもの。故に登場人物(+?)以外の話の筋は、半分くらいは創作。登場人物の性格なども、若干本物とは異なっている。

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曰くより、愛を込め 真代あと @gurupamin

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