gift
お母さんへ
あなたが大嫌いです
未だに私を助けようとする
あなたが嫌いです
子どもの私を甘やかし
どんな困難からも守ったあなたが
心の底から嫌いです
今寒空の下に歩き出した私を
真似しないで下さい
今暖かな茜空に背を向けた私を
呼び止めないで下さい
私はあなたの子どもであっても
あなたを苦しめたいとは思わない
お父さんはもう居ないのです
同じことを繰り返してはいけない
階段を共に登る時
あなたには介護が必要です
私には自立が必要です
あなたの人生を生きて下さい
私はあなたのものではない
あなたの失くしたものは
あなたの近くでは
埋めることが出来ない
私は生きていて
私のものです
私の感情は私のものです
この感情が生きている時
息が続いて泳いでいる限り
あなたは私のものになり
そうしてずっと沖まで行きつく
あなたと私は同じでも
あなたの中に私は居ない
私だけが私を背負う
私が私の荷を背負う
成し遂げたい想いがあります
その時は、初めて私を誇って下さい
寒空の下で背負う荷を
決して地面に落としはしない
茜空を背にした坂を泳いで
向こうで海は空と重なり
僕は限りなく一人だと思いたい今だけは
決して誰も失いたくない
決して誰も
涙で誤魔化したりしたくない
お父様
お母様
感情をありがとう
僕は生きています 嘘のない私を
寒空の 朝の気配に
透明な色の 夜の支配に
溶けていくことも忘れ
消えてしまうこと 沈むことを恐れずに
永遠へとあなたは歩く
私は泳ぐ 変わることを恐れずに
寒空の下 確実に生きていく私達を
見守って下さい
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