第4話 ASMR

「ん~、でもこの音声を聞くと、のわちゃんっぽいんだよなぁ…。」


スマホから流れ出したのは、僕の声。耳元で囁くように、そして時折甘くとろけるような吐息混じりの声が響く。


『んっ…あ、だめ、そこは…♡』

『もう、待って、そんなにしちゃ…ふぁ…んんっ♡』


囁き声とともに、息を飲むようなくちゅっという音、唇が触れ合うようなちゅっというキス音も入っていて、なんだかとてもえっちな感じに仕上がっている。酔った勢いで撮ったとはいえ、今この状況で聞くなんて、耐えられない…。


顔が耳まで真っ赤になって、羞恥心で体が縮こまる。唇を噛みしめても、震えが止まらないし、目にはじわっと涙が滲んでくる。無理やり落ち着こうとするけど、自分の声が恥ずかしくてたまらない。こんなの、人に…ましてや君に聞かれるなんて思ってなかったから、後悔が襲ってきて心臓が痛いくらいドキドキしてる。


(なんで、なんでこんな音声まで…!もう最悪だ、あのとき酔っぱらった勢いで、こんな恥ずかしいものを…っ!)

涙目でスマホを見つめながら、体がプルプルと震える。隠したい、消してしまいたいのに、音声は続いて、僕を深く深く羞恥の底へ引きずり込んでいく。

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