魔法少女リヴィア

「魔法少女バレット」と名乗った少女はどうやら政府の人間と会話をしているようで、2.3分の会話を終えた後


突如私に向かって銃撃を開始した。


その光景を見て私は驚きよりも先に条件反射的に言葉を紡ぐ。

「変貌せよ。」

私の、魔法少女リヴィアの変身する為のキーワードだ。魔法少女は一人一人に違った変身用のキーワードを持っている。

私の血に塗れた服は先程までとはうってかわって白色のワンピースに変化しておりボロボロしたあの服の様子は見る影もなく

シミ一つなくまさに純白といった言葉が似合う姿へと変貌を遂げていた。

その右手には少し大きなナイフを逆手に持ち、右手はフリーハンド。

可愛らしいワンピースとは全くもって似つかわしくないアンバランスさは目の前の銃器を掲げている制服の少女と変わらないような気持ち悪さを覚えさせる。

変身前は色あせていた真っ白になっていた髪はキラキラと輝くような水色へと変化しており、まるでそのまま水に溶けてしまいそうな儚さを持ち合わせていた。


「急に仕掛けてくるとは、どういうことでしょうか?」


生身の肉体とは違い異常な程に発達した動体視力と身体能力で弾丸の軌道を読みつつ

私はこちらへと飛んできた銃弾をナイフで全て弾き返して質問を目の前の魔法少女へと投げかける。


「本当に魔法少女なの!?」

「さっきからそう言っているじゃないですか。」


会話を少しミスしてしまったのだろうか?

驚き顔で彼女は再び政府の人間と会話を始める。しかも今度は私にも聞こえる声で


『何があった、バレット!』

「私の銃弾全部弾き飛ばされました。

それよりリヴィアって子本当に魔法少女じゃないですか!私もうすぐで人殺しになる所でしたよ!?」

『いや、そんなはずはない。

確かにこちらのデータベースにそのような名前、それに近しい名前は存在しないんだ。』


……私がデータベースに存在しない?

そんなはずはないだろう、そもそも私が乱入してきた魔獣に襲われたのは政府からの命令で魔獣の討伐のためここへ出向いていたからだ。

やはり何か違和感がある。

だが今はとりあえずコミュニケーションだろうと私は現状をどうにかするために会話を試みる。


「そんなはずは無いです。私は政府の命令でここに来たのですから。」

「じゃああなたはここで何をしてたの?

ここで急に現れて消えた魔獣の魔力反応と血塗れで倒れていたあなた。

でも状況が状況だから擬態型だと思って射撃してしまったのは私の落ち度。ごめんなさい。」

そこに先程と同じく男の声が無線機から流れてくる。


『どうやら情報の擦り合わせが必要なようだな。』


それもそうだ、そもそも先程の会話から聞く限りここに現れた魔力反応、恐らくは私が相打ちとなった魔獣のことだろうが、私が最後に覚えているのは無線機に討伐した旨を告げて地面に倒れ込む所までだ。

それ以降のことは分からないし、そもそも私の名前が政府のリストから消えていることも分からない。


「私としても今はとにかく情報が欲しい。

私が出せる情報は極力出していくのでそちらも同じく願いたい。」

「って言ってるけど?」


魔法少女バレット、バレットと呼ぶことにするがバレットは無線の先の相手に確認を撮っているようだった。


『あぁ、こちらとしても構わない。

情報を求めているのはこちら側もだ。

バレットも構わないな?』

「……いっつもこうなるじゃん。私の時間がどんどんと削られてく、まぁいいでしょう。」


思ったよりもバレットは苦労人なようだ…


そうして、魔獣により崩壊した住宅街の中心地で魔法少女2人と無線の先のプラスαによる話し合いが始まった。

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