乙女ゲーの世界に転生したら何故かヒロインに好かれてしまった!?

@soli

第1話

暗い。ここは何処だろう。

朦朧とする意識の中、自問自答する。


自分の今置かれている状況が分からない。

手足の感覚も無い。五感も感じられない。

その状況のせいで更に焦りが増す。


私は家へ帰宅中猛烈な倦怠感に襲われその場で倒れてしまった。何故かは分からない。私は健康的な生活をしていたしなんなら人生で風邪を引いた事なんて2回くらいしかない。

だから病気の線は無いと思う。


これはもしかして植物状態とかいう奴なんじゃないだろうか。私の体は今頃病院のベッドで寝てるのかも。いや冗談じゃない。

これからずっとこの暗闇の中で何も感じられずに生活とかごめんだ。てか生活なんて言えないか。


「…ね。……た。」


「あ…。お…に…か……。」


声が聞こえる。五感がないと思っていたが

強い光が見える。

私はその光に向かって手を伸ばす。


「おぉ!手を伸ばしたぞ!!クリス!」


「あらー、元気な子ねぇ!お母さん嬉しいわぁ。」


これはどういう事だ?目の前には、とは言ってもうっすらとしか見えないが男性と女性が居る。


「だ?だー!だ?」


あれ。喋ろうと思っても呂律が回らない。

これはまさか…


「おい!喋ったぞ!!愛しい我が子よーー!!」


「落ち着いてって。あなた。でももう喋れるなんて凄いわね!偉いわ!」


あーこれ……私赤ちゃんだわ。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎

転生?と言っていいのか分からないが、私爆誕の日から六年が経過しました。


この六年でいくつか分かった事がある。


まず一つ目は、この世界は私の大好きな乙女ゲー、「ドキドキ!異世界生活ー!」とかいうえ、三秒でタイトル考えたの?ってくらい単純なタイトルのゲームの世界だ。


これは主人公のアイリス、という平民の女の子が学園で巡るトラブルに巻き込まれながらもそこで出会った男の子達と親密な関係になっていく…というストーリーなのだが…


このゲームは三千万本売れた化け物タイトル。この三秒で考えたみたいなタイトルのゲームがだ。


理由は沢山ある。まず大量の育成要素。

レベル限界は存在しない。この時点でコアなゲーマーには売れるかもしれない。


更に超広いオープンワールドシステム。

広いなんて物じゃない。普通に無限に続きそうなくらいの広さのワールドで端っこから端っこまで行くのに48時間かかるらしい。広すぎるでしょ。


そしてスキル。

よくある「鑑定」やクラスによる固有のウェポンスキル。だけでなく莫大なまでのスキルポイントが必要になるがゲーム性をぶっ壊す「無敵」とかいうチートスキルもある。


そして圧倒的なまでのモンスターの強さ。


今紹介したのはほんの僅かでまだまだやり込み要素はある。それは追々紹介していこうと思う。


でも一番評価されているのはシナリオだ。


どのレビューも見ても「シナリオが神すぎた」とか「やり込み要素も楽しいけどあの最終戦は涙腺マリアナ海溝になった」とか。


要するにシナリオが異常なまでの高評価を得ているのだ。普段の学園生活での青春生活。そして各所に散りばめられた伏線、物語の裏で確かに動く怪しい陰…主人公アイリスたちの成長…といった王道RPGストーリーが高く人気を呼び起こした。


本当に神要素を挙げればキリが無い。

それほど私がハマりまくったゲームでもある。


そして今私は…


「クロエー!行くよ!」


「うん!本気で来ていいよ!アイリス!」


何故か主人公と剣の練習をしています。

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