第0話 決戦の日 後半





 本陣から離れている3個連隊は、左翼に向けて移動を始めた。そして、本陣からは太鼓が奏でるリズムと高く掲げられた連隊旗が見える。


 太鼓の音が各兵士の心臓を震え上がらせる。それはマデューラ将軍も同じである。


 砲兵隊問題が解決したとしても勝利に繋がるかは分からない。


 なぜならラムスファットの敗戦を決定づけた帝国軍軽騎兵の存在があるからだ。


 マデューラ将軍は次の手、それも帝国軍に優位を取れる有効な手段を考えていた。


 ヒューリア擲弾兵連隊、ハリア王国全域から集められた屈強な身体と挫けぬ精神力を持つ兵士によって編成された精鋭部隊である。統率の取れた一斉射撃と敵う相手が居ないとされている白兵戦が彼らの強みだ。


 マデューラ将軍はこの連隊の戦線投入を考えていた。


 そのヒューリア擲弾兵連隊を率いるのは、ランスリー卿である。


 王国陸軍卿という役職に就いている彼は、事実上陸軍トップの人物だ。この決戦においてはマデューラ将軍がトップではあるが……。


 だが、軍会議での発言力ではマデューラ将軍もランスリー卿には敵わない。





 将軍がヒューリア擲弾兵連隊の投入を検討していた頃、ランスリー卿はいつ戦線に赴けるかうずうずしていた。ヒューリア擲弾兵連隊が、敵を崩壊に導く様を早く見たくて仕方ないのである。


「将軍はいつ我らを戦線にやる判断を下すのだ。このままだと戦線の歩兵部隊が崩壊してしまうぞ」


 本陣よりも戦線に近いところにいたランスリー卿は、戦線の状況が本陣よりも詳しく知ることができていた。


 マデューラ将軍が把握しているよりも帝国軍砲兵隊からの砲撃が猛威を振るっていて、いつこちら側の戦線が崩壊してもおかしくなかったのである。


「もう待ってはいられん!! グレスビー、前進の合図を出すのだ!! 」


「ランスリー卿、確かに我らが戦線に加われば、戦況が変わるかもしれませんが、今は大砲の的になるだけです」


「何を興ざめなことを言うのだ。砲撃など気にするな。このヒューリアの兵どもが屈するわけがない」


「……サー・ランスリー。いい加減にしてください」


 ランスリー卿の右腕であるグレスビーがサー・ランスリーと呼ぶ時は、静かに怒りを表現しているのである。


「わかったわかった。マデューラの指示を待とう」


 独断で突っ走りそうになるランスリー卿を止められるのは、グレスビーだけである。他の者の言葉は聞きやしない。グレスビーが居なければ、ヒューリア擲弾兵連隊は評判が広まる前に壊滅していただろう。


 とはいえ、戦線を維持しているハリア王国第5歩兵大隊が押され気味であることには変わりない。なにか手を打たなければ、戦線は崩壊し総崩れとなる可能性がある。


「マデューラに戦線を状況を明確に伝えるのだ。それで行動に移さないというのであれば、やつは腰抜けというわけだ」


「ランスリー卿。さすがに言い過ぎです。ですが、戦線のことをマデューラ将軍にお伝えすることは理にかなった判断だと思います」


「ただちに伝令を本陣に向かわせるのだ!! 」





 本陣、マデューラ将軍のもとにランスリー卿から遣わされた伝令が到着する。


「将軍閣下!! ランスリー卿より伝令です」


「そうか、伝えてくれ」


「はっ!! 『ヒューリア擲弾兵連隊より本陣へ。ハリア王国第5歩兵大隊の崩壊は時間の問題。我がヒューリア連隊の投入をお考えに』とのことです」


「ランスリー卿自らそう言ってくれるとは。ちょうどいいタイミングだ」


 その時であった。帝国軍の機動砲兵隊のもとで戦闘が始まったのである。近衛騎兵連隊傘下の軽歩兵部隊が、無事機動砲兵隊のところにたどり着けたことを意味していた。


 マデューラ将軍は、望遠鏡を手に取り戦闘の様子を見てみると、突如として現れたハリアの軽歩兵に動揺しているのがわかった。それでも冷静さを取り戻し、護身用の剣で応戦している砲兵もちらほらと居た。


 しかし、帝国軍砲兵の応戦も空しく、逃げ出した砲兵がほとんどであったためハリアの軽歩兵に囲まれ突き殺されていた。


 そして、大砲の破壊工作が進められる。


 ハリア側の軽歩兵部隊は、ようやく脅威となっていた機動砲兵隊の崩壊を成し遂げたのである。


 望遠鏡を部下に手渡すと、軽く微笑んだ。それはこの戦いの勝利を確信したかのようだった。


「風向きが変わった。脅威が排除されたのだ。すぐに伝令をランスリー卿のもとに!! 内容は……」 


 伝令に内容を伝えているときであった。


 戦場に甲高く「ハリア軍行進曲」が鳴り響いた。


 ほとんどの歩兵部隊の軍楽隊というのは、太鼓と横笛で構成されている。だが、1部隊だけ例外であった。


 ヒューリア擲弾兵連隊である。


 ランスリー卿の好みがそのまま反映された軍楽隊が奏でる音は、まるで野外で行われる音楽会のようである。


 太鼓や横笛だけではここまで力強い行進曲にはならない。それは、ヒューリア擲弾兵連隊の軍楽隊には金管楽器や木管楽器までもが枠組みの中に入れられているからである。





「ヒューリア連隊が勝手に前進を始めています!! 」


 ランスリー卿率いるヒューリア擲弾兵連隊は、中央の前線で戦っているハリア王国第5歩兵大隊のもとへ前進していく。


 立派な命令無視であるが、マデューラ将軍は冷静に彼らの行動理由を推測してみることにした。


 ランスリー卿が好戦的であったこと、そして一番の理由は障害となっていた帝国軍機動砲兵が排除されたことだろう。


 おかげで前線中央部の陣形は崩れてきていた。


 しかし、ヒューリア擲弾兵連隊の良い評判があってか他の歩兵部隊が足並みを揃えて前進し始めたのである。


 これは、マデューラ将軍が命令を下す前に考えていた中央全軍の前進であった。


「1人走りしないよう、隣と部隊と足並みを整えつつ前進せよと伝えてくれ」


「承知しました、将軍閣下。ただいま伝令を前線に遣わせます」


 こちらの精鋭部隊が前線に投入されたことによって、ハリア王国軍兵士の士気は震え上がった。


 そして、じわじわと帝国軍を押し返し始めたのである。


 好機を逃さまいとマデューラ将軍は、後方に配置されていた部隊の前進を命令する。


 これは、右翼・左翼・中央の前線に投入されていた兵数の約2倍にも及ぶ大部隊である。この数で帝国軍中央を崩壊させ、敵方の戦力を分断しようという考えであった。





 ついに、ヒューリア擲弾兵連隊が前線に到着。ハリア王国軍第5歩兵大隊と共に帝国軍中央への突撃を開始した。


 士気が上がりに上がったハリア王国軍兵士たちは、後退していた帝国軍の戦線を更に押し上げ、一部の隊列を崩壊させるまでに至った。


「進め!! ヒューリアの兵士よ。屍の山ができるまで止まるのでない!! 」


 ハリア王国第5歩兵大隊と共に前進するヒューリア擲弾兵連隊。そのトップに立つランスリー卿は、帝国軍を押しているこの状況を誰よりも楽しんでいた。


 さっきまで、優勢だった帝国軍を後退させなんなら崩壊までに至らしめた自分の部隊が誇らしく無敵に思えていた。


 また、他の部隊では真似できないバランスブレイカーな部隊の上官ということが彼を優越感に浸らせ、この戦いを楽しませるきっかけとなっていたのだ。


 本陣からの指揮が届かない前線前進部隊と比べ、将軍が命令して動かした後方の部隊は本陣からの命令がしっかりと届いていた。


 これにより前線と後方の前進速度の違いを生んでしまっていた。もし、後方の前進速度が前線部隊の前進速度と極端に違っていたならば、後方部隊は前線に到達できず支援部隊としての役割を果たせない。この状況はなんとしても避けなければならない。


 各後方部隊は、マデューラ将軍の支持を忠実に守っていた。それゆえに戦場の常に変わりゆく様に対応できない部隊が現れた。


 この部隊が戦況を大きく変える原因を作ってしまう。





 交戦開始から約5時間後。


 ハリア王国軍は、帝国軍に対して機動砲兵隊の脅威を排除したり精鋭部隊であるヒューリア擲弾兵連隊の投入で優勢となっていた。


 マデューラ将軍は後方部隊を前線の支援として投入し、このまま帝国軍前線を崩壊させ中央突破という流れを目指していた。


 その勢いで敵陣の奥まで侵攻、帝国軍を二分割にして騎兵連隊を用い各個撃破をしていく。


 といった中央突破後の戦略を考えつつ、帝国軍が総崩れとなった時の場合も想定していた。


 帝国軍の戦力はハリア王国の何倍も上に違いない。だからこそ追撃を徹底して帝国の戦力を少しでも減らさなければならない。


 また、王都から新たに編成された王国軍と合流を果たし主力軍の再編成を行う。


 このまま順調に事は進むと、彼は信じ込んでいた。


「将軍閣下!! 後方部隊に帝国の軽騎兵部隊が!! 」


「なんだと!!?? 」


 このときマデューラ将軍は、機動砲兵隊が登場した時よりも動揺していた。なにせ、彼が1番恐れていた帝国軽騎兵が現れたのだから……。


 深緑の軍服で身を包んだ帝国の軽騎兵。


 彼らは砂埃を立てながら、猛スピードで後方部隊に突撃を試みようとしていた。


 その後方部隊こそ、マデューラ将軍に忠実なる兵士たち、フロット第6歩兵連隊である。


 連隊を率いるフロット大佐は、迫り来る帝国軽騎兵にどう対応するか迷っていた。


 前進速度を上げ前線にたどり着き、他の歩兵部隊と共に帝国軽騎兵を迎え打つか。


 それとも、ここで隊形を対騎兵用のものに変えるか。


 フロット大佐は、どちらが良い判断か悩んだ。


 悩んだ末に出した答えは、どちらの行動も軽騎兵相手には時間が足りないというものであった。


 前進速度を上げても軽騎兵から逃げ切ることは不可能だろうし、1連隊だけではあの帝国軽騎兵の勢いを止めることも出来ない。


 どちらにしろ、この連隊が壊滅寸前にまで追い込まれる運命であると、彼は悟ったのである。


 だがフロット大佐は、1つの望みを抱いていた。

 

 軽騎兵と交戦中にハリア王国軍の騎兵部隊が、応援に来てくれるに違いないと。


 戦列歩兵が側面からの攻撃に弱いとされる理由として、無防備であることと方向転換の遅さが挙げられる。


 正面に対して横列に整列しているため、側面はほぼ無防備である。それに、側面へ改めて整列し直すことは、精鋭部隊でようやく様になるぐらい難しいものだ。


 このことからは、騎兵にとって戦列歩兵への側面攻撃は、薄い壁を突き破るような簡単なものである。


 フロット大佐に残された時間は少ない。


 もう目の前まで帝国軽騎兵が迫ってきているからだ。


「大佐!!!!!! 」


 1人の下士官がフロット大佐に判断を求める。


 だが、フロット大佐は黙り込んでいた。


「……………………………。……ベストを尽くせ……」


 連隊の指揮権を放棄したとも捉えられること大佐発言は、彼の部下たちを失望させた。


「連隊、前進停止!! 銃剣を付け方向を90度変えよ!! 」


 大佐の代わりに1人の士官が連隊の兵士に命令を下す。


 そして、太鼓のリズムと共に銃剣を装着。


 隊列の向きを90度、転換し始める。


 もちろん、軽騎兵のスピードに間に合う訳が無かった。


 連隊は帝国軽騎兵の突撃をまともに受け、前列にいた兵士が犠牲になっていく。


 腹や胸を突かれ、背中を斬られ……。


 帝国軽騎兵は、すぐにフロット第6連隊を囲いこんだ。


 そして…………


「!!!!!……………」


 一瞬の出来事であった。


 乱れた隊列の隙間を駆け抜けてきた軽騎兵が、フロット大佐の胸を突き刺したのである。


 大佐はうめき声を上げながら地面に倒れ込む。


 突き刺した軽騎兵は、サーベルをぐるぐると回しながら次の獲物狩りを始めた。


 倒れたフロット大佐に、駆け寄る兵士は誰も居なかった。彼の胸から赤く澄み切った血が流れ出ている。


 しばらくして、彼は軽騎兵と味方歩兵が争い合っている声を聞きながら、静かに息を引き取った。


 名が刻まれたサーベルを後に帝国兵が見つけるまで、サーベルの持ち主がフロット第6歩兵連隊の大佐であると気づくものは居なかった。


 フロット大佐の顔は青白く地面の色と同化していた。


 誰も彼が大佐だとは気づけなかったのである。





「皇帝陛下よ、永遠あれ!! 」


 ……突撃ラッパの音。


 地震並みの揺れと共に孤立しながら前進していたハリア王国軍後方部隊を、軽騎兵は騎兵突撃により各個撃破していっていた。


 今や、左翼の後方部隊は壊滅状態である。


 名将マデューラがこの間何もしなかったというと決してそんなことはない。


 本陣の騎兵部隊を送ったり砲兵部隊の攻撃を帝国軽騎兵に集中させたりと努力していた。


 少なくとも右翼後方部隊の崩壊を防ぐことは出来た。だが、左翼、中央の後方部隊の多くは残念ながら壊滅的損害を受け、死傷者で溢れている。


 ハリア王国軍の勢いによって押し上げられた戦線が停滞しだした。


 ハリア前線部隊に戦線を押し上げる勢いが無くなってきているのである。


 後方の前線支援部隊は、帝国軽騎兵によって蹂躙されてしまっているし帝国軍歩兵の攻勢が強まって戦線を維持するのが精一杯であった。


 幸いにも帝国軽騎兵は、ハリア王国軍本陣とハリア前線部隊の間から撤退しているが、この隙間を埋めない限り本陣にも前線部隊にも危険が及ぶ。


 この状況を打開するためマデューラ将軍は1つの賭けをする。


 本陣にいる王立歩兵連隊(大ハリア連隊)及び本陣防衛隊の投入である。


 この部隊の投入が意味するものは、将軍自らが前線に赴き、全勢力をもって帝国軍に挑むものである。


 上手く行けば勝利を手にするだろう。だが、戦況が変わらないならば、自分が命を落とすことになる。


 そんな覚悟を持ってマデューラ将軍は、本陣にいる士官達を集め話し始める。


「第5歩兵大隊を含む前線部隊が崩壊すれば、この戦い、我らの敗北は決定的になるだろう。だから、私は皆に死にに行くようなお願いをする」


「なんでも仰って下さい。将軍閣下」


「ええ、どんな願いでも受け入れましょう」


 士官たちは、冷静沈着な口調で言った。皆も覚悟を決めてくれているようであった。


「ここにいる全ての戦力をもって、もう一度帝国軍の中央突破を試みる。これはリスクある大きな賭けだ。


 突破出来なければ我々は死ぬ。君たち士官諸君が勇敢かつ祖国に忠実であることに感謝したい


 …………よし、全員前線に乗り込む準備を!!」


 各士官たちが持ち場につき、出陣の命令を待つ。


 そんな中、1人の伝令を呼び出して、


『こちらに援軍として向かってきてくれている王国軍へ。


 こちらの戦況ははっきりと言って悪い。私の責任である。


 だが、援軍である君たちにはこの戦場ではなく、いずれ行われるであろう王都防衛で力を出して欲しい。


 よってただちに王都に引き返し、帝国軍との戦いに備えよ。


 我らの援護は不要だ』


 と書かれた紙を手渡し、援軍に渡すよう伝えた。


 伝令は、将軍にお仕え出来た感謝の意を伝えると本陣を去っていった。


「さあ、前線に行こうではないか!! ランスリー卿に文句を言われたい奴は居ないはずだからな。


 ラッパ手!! 出撃ラッパを」


 近衛騎兵に側面を守られながら、マデューラ将軍率いる部隊は前線へと向かっていった。





 前線は崩壊寸前であった。


 そこへマデューラ将軍率いる部隊が到着する。


 ゆっくりと馬から降りた将軍は、サーベルを抜き空に向かって突き上げた。


「ここは、ハリアの地。決して帝国の手に落とすわけにはいかない!!」


 と同時に掲げられたハリア王国旗。


 それを囲むようにマデューラ将軍とその他士官たちが集まる。


 帝国軍の一般的な砲兵隊からの砲撃、後ろからは帝国軽騎兵ども。


 八方塞がりの状況で、ハリア王国主力軍は奮戦した。


 だが弾は無くなり銃剣やサーベルは血まみれで切れ味が悪い。


 ばたばたと倒れていく味方に帝国兵。


 ハリア王国旗が地面に触れるその時まで、ハリアの勇士たちは戦い続けた。


 砲撃でランスリー卿とクレスビーが戦死。


 ぬかるんだ足場の悪い場所に誘い込まれた近衛騎兵連隊は、そのまま帝国軽騎兵部隊に刺殺され、近衛騎兵連隊 隊長ハーベルトも同じくぬかるみに足を取られ帰らぬ人となった。


 ハリア第2砲兵隊 クロスブリッジ大佐やその護衛を務めていたハリア王国槍騎兵連隊のハミリア大佐は、マデューラ将軍の命令により戦場を離脱、王都へと向かった。


 マデューラ将軍は、戦友たちの戦死の一報を聞き酷くうろたえていた。


 もう王立歩兵連隊と部隊関係なく集まった兵士たちが将軍とハリア王国旗の周りに居るだけである。


 脚を失った兵士を抱き抱える違う部隊の兵士。


 頭に血でにじむ包帯を巻いた物。


 必死の思いで戦場から逃げ出そうとする者。


 やがて残ったハリア王国軍を帝国軍は包囲した。


 1人の騎兵がマデューラ将軍含むハリア王国軍兵士の前に現れる。そして、彼はこう言う。


「愚かなるハリアの兵士よ。もう争う必要は無い。このまま降伏を受け入れれば、安らかな未来を約束しよう」


 深く被られた軍帽で彼の顔ははっきりと見えなかった。


 そんな彼から発せられた言葉は、ハリアの兵士たちを侮辱するものであった。


「クソッタレ!!!!!!!! 」


 ハリア兵士の怒号が響き渡る。


 それに釣られて他の兵士が思い思いに自分たちの感情をぶちまけた。


 まるで財務部に責め立てられるランスリー卿と財務部の連中のようだとマデューラ将軍は思い出し笑いをした。


「皆最高だ!! これを死んでしまった仲間に見せたいものだ。だがしかし、まだやるべきことが我らに残っている」


 ハリア兵士たちが各々銃と弾丸を持ち、帝国軍に向ける。


「そうだ!! そうだとも。あの世に行く前に1発でも多くハリアの意地ってものをお見舞いしようではないか!!!! 」


 こう言い終えると1人の発砲に続いて一斉射撃が始まった。


 帝国の一騎兵は一目散にその場を後にし、帝国歩兵の後ろに回った。


 発砲音と硝煙は、30分もの続いた。


 最初の3分ぐらいはハリア側で残りの時間は全て帝国側のものである。


 ハリア王国旗は土と血で汚れ4人のハリア兵士の上に覆いかぶさった。





 サーテミラ決戦は、ハリア王国軍が多くの戦死者を出し敗北。


 続く王都防衛戦も数で勝る帝国軍に敗北した。


 この2戦で優秀な士官たちと勇敢なる兵士たちを失ったハリア王国は、帝国軍及びムスファ帝国に対して降伏する。


 しかし、ムスファ帝国の残虐行為はこれからであった。


 降伏したハリア王国の王室一家を殺害、助かったハリア兵士も帝国に忠誠を誓うもの以外は処刑されていった。


 そして降伏後にハリア王国は滅亡、ムスファ帝国の支配下に置かれることになる。


「ムスファ帝国万歳!!


 皇帝陛下に栄光あれ!!」


 王城や王都外壁に帝国国旗が掲揚される。


 ハリア王国滅亡から2日後、王国領であったこと地域はムスファ帝国ハリア・直轄領となる。





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 長々と本編前の1戦を読んでくださり、大変嬉しく思います。


 最後の辺り、ある戦争映画の1シーンを参考にして書いてみたのですが、わかる人は居るのでしょうか……


 マニアック過ぎる内容はここまでにして、これより先は本編となります!!


 第70サマーランド歩兵連隊に配属されたレイア・オルセットの物語を、終わりまで共に迎えられたら幸いです。


 とはいえ、投稿は不定期となりますが……


 ということで、


 またどこかで。

























































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