第26話
「そりゃ、まずいーーー!! てっ、何? 膨張破裂って何?!」
俺はホールの入り口にいる田中のおっちゃんに叫んだ。
「ああ、膨張破裂というのはなあ……」
田中のおっちゃんが、考えながら何か大声を出そうとするが。
「そんなこと言ってる場合じゃないないない! さっさと悪い子退治するの!」
恵美ちゃんが俺の隣から急かしてくる。
「だってー、気になる! 気が紛れる! 集中できない!」
「ああ、えーとなあ。空間変異能力というのがあってだなあ……」
「さっさと行ってー! 悪い子退治して来て―ーー!!」
俺と田中のおっちゃんと恵美ちゃんとで、言い合っていると?
「あのー、あそこにいるってよ。空間変質者だっけ?」
ステージ上にいる。俺と恵美ちゃんの目の前の利弧利戸ちゃんが指差した。縄を解かれた利弧利戸ちゃんの隣には、いつの間にか利弧利戸ちゃんのファンの一人がいた。可愛そうなくらいに震えている伊達メガネを掛け男で、伊達メガネを人差し指で少し上げ、口を恐る恐る開けた。
「ほ、ほら。あ、あそこにいるテロリスト集団の一人。め、恵美ちゃんのファン二人と戦っても……倒れていない……さっきから見てたら、忽然と姿を消したり、そいつの周りの空間が曲がったりするんだよ」
恵美ちゃんのファンの不気味な男二人は、今でもテロリスト集団と戦っていたが、善戦のようでテロリスト集団は皆苦戦しているか、倒れだしている。「全ての武器は、物騒だから時間を停止してある! だが、すまん! もう体力の限界で時間停止が使えない!」
不気味な男の一人。時間停止能力者が、テロリスト集団と素手で戦いながら叫んだ。もう一人の不気味な男は透明人間になれる能力なので、どこにいるのかは見えないが、テロリストたちを目に見えない衝撃で次々と攻撃していた。
けれども、そのテロリストは空間をグニャリと曲げたりしてファン二人の攻撃を回避していた。
「I put it away」
(しまった)
レベル999の俺と目が合うと、テロリストの男は、逃げの態勢になって忽然と姿を消した。あ! あのロケットランチャーを持っていた奴だ! きっと、さっき田中のおっちゃんと俺から逃げ出した。会場内を見回りしていた二人組の一人だろう。
俺は急いで、忽然と消えた男を探しに走った。
だが、あれれれ?
異能の力が使える30秒はとっくに終わっていた。
今の俺はステータス強化状態のレベル999ではない。
何もできずに走り回る。
ただのアホだった……。
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