第24話

 テロリストのリーダーが、今度は立ち上がり際に、下半身へ上半身の筋肉を持って行って、そして、思いっ切り屈んでから天高くジャンプをした。


 顔は今まで覆面マスクを被っているので、全身の筋肉の無理な移動で、どんな顔になっているのか、そもそもわからない。


 星のような数のスポットライトの辺りまで、テロリストのリーダーは飛び上がると、そのまま蹴りの態勢をして、俺に高速に向かってきた。


「や、ヤバ!!」

 

 俺はSTRを両腕に全て使って、目の前で交差をするとしっかりガードの構えをした。

 

 ググギギッ!!


 俺の両腕が悲鳴を上げる。

 だが、テロリストのリーダーの蹴りを両腕の交差で受け止めた。

 体重を乗せジャンプ力を伴った。凄まじい蹴りに、俺はこらえきれずに後ろへと吹っ飛んでしまった。


 そのまま俺の身体は、10メートル離れたステージのセットに派手にぶつかる。背中をしたたかに打ち付けて、血を嫌というほど吐いた。


 そのまま俺の身体は、10メートル離れたステージのセットに派手にぶつかる。背中をしたたかに打ち付けて、血を嫌というほど吐いた。


「いっててててて!! ハアッ、ハアッ!」


 俺は荒い呼吸をしながら必死に立ち上がりかけた。


 次の手がくる!!

 来てしまう!!


 テロリストのリーダーがのしのしとやってきた!


「ほーらー、君。ガンバるる!! 医療系のファンくん! 彼のことを任せるわよ!」


 ステージ上にいるアイドルの恵美ちゃんが、利弧利戸と英瑠璃を縛っている縄を解きながら、もう一人のファンを呼んだ。


 その途端、瞬間で今度はのっぽの男が目の前に現れた。

 のっぽの男が俺の傍へ来ると、光りだす手を背中へ当てて、治療してくれた。


「大丈夫かい? 俺の異能の力は救急医療よりも優れているからなあ。さあ、立って。行った。行った。頑張ってくれよ。それと、怪我したらまた来てくれよ」


 明るいのっぽの声に、俺は気合いを入れ直した。


「ああ! 助かったよ! ありがとなー! ……さすがにぃーー! こうなったらー、本気出しちゃう。ぞーー!!」 


 俺は口から出た血を片腕で拭き取ると、テロリストのリーダーへと走った。


 異能の力の時間は、後30秒しかない。

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