第14話

「あ、ありがとーございますーー! あ、あの! これって一体なんスか? 覆面マスクの男たちが、急に朧気になって、崩れ去ったし、天井と床がスライスされてしまったぞ?!」

「ふん! 今、斬ったのはテロリスト集団の空間変異能力者の能力自体だ」

「テロリスト集団? 空間変異能力者? それって、なんなんスか?」

「じきにわかる。さあ、小僧。行くぞ。利弧利戸ちゃんを守りに!!」

「は?」


 40代のシックなおじさんは、よく見ると、利弧利戸ちゃん命と背中に書かれたTシャツを着ていた……。


 俺はしばらく、普通の会場へと変わった通路をおじさんと走った。


「そういえば、まだ名乗ってないな小僧。俺の名は田中 正士居ただしいだ」

「ただしい……か。うん。おじさん良い名前なんだな。俺の名前は、海野 匡助きょうすけ

「田中と読んでくれ。海野くん」

「匡助と読んでくれな……妹も海野だから……」


 会場の中で不穏な煙が上がっているところへと、田中さんは俺を誘導する。そこは一番、被害が多そうな場所だった。


「ここから先は巨大ステージだ。気を付けろ。ステージ上には、それぞれの国からのアイドルグループとテロリスト集団のボスがいるんだ」

「OK!」  


 巨大なホールには、テロリスト集団がざっと20人以上はいる。観客席は空っぽで、座らされている人たちは、皆銃口をこめかみに当てられていた。

 

 観客席にいたはずの人たちは、特大ステージの周囲をぐるっと、両手を頭に載せて跪いているぞ。


 観客数は1000人を軽く超えるんじゃないかな?


 そんな中で、俺たちは薄暗いホール入り口で、これからどうしようかと考えていた。

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