第13話

「こ、ここは逃げるが勝ちだーーー!!」


 後ろへ回れ右して、スピードへ異能力を爆発的に振り分ける。

 全速力でダッシュすると、もう視界の覆面マスクの男たちが小さくなった。


「Let's shoot! !」

(撃つぞーー!!)

「I ran away! ! Chase it! !」 

(逃げたぞ!! 追え!!)


「ふははははは! お前らは負けだーーー!! 俺はこの瞬間に勝ったぞーーー!! って、やっぱり撃ってくるのね……」


 複数のサブマシンガンが断続的に火を吹いているようで、このままでは逃げのポーズのまま蜂の巣になりそうだったが。


 覆面マスクの男たちの大声は、聴覚へ異能力を振り分けたから、聞こえてくるが、肝心な弾丸はノロノロと俺の脇をたくさん飛んでいる。


 残り10秒!!


 9。


 8.


 7。


 うん??


 あれれれれれー?


 こんな場所あったか? 凄く大きな自動販売機が右側の壁に並んでいる。それにこれだけ速く走っているのに、未だにこの通路の行き止まりの壁も現れていない。


「I was here! ! It's this way! !」

(ここにいたぞー!! こっちだ!!)


 目の前に、突然。

 覆面マスクの男が現れた。


「ええーー! どうなってるんでしょう?? 誰か頼むから教えてくれーーー!」 


 覆面マスクの男が仲間を呼びながら、サブマシンガンをこっちへ構えた。 

 

 や、やばい!!

 もう、異能の力は疲れて出ない。

 時間切れだぞ!


「斬!!」


 いきなり、空間に亀裂が入った。天井から床まで真っ二つになって、覆面マスクの男たちの姿が朧気になり、そして、崩れ始めた。


「ふん! 大丈夫か?」


 見ると、どうみても40代のシックな男性が、大きな光る刀を輝く鞘に納めながら、突っ立っていた。

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