第5話

 可愛い鳥を見つけたので、つかまえようとして、手摺りから手を伸ばした結果。鳥のようには飛べずに落下したのだそうだ。


 佐江島 萌理さんがセンターの4人組アイドルグループの名前は、STARZM・4(スターゼモフォー)で、星で絶対萌え死の意味なんだそうだ。


 今や、国民的アイドルグループで、日本で知らない人は相当な田舎か、山の中か海の中で暮らしているはず決定だった。


 正直、嬉しい。

 佐江島さんと一緒に、これから海上浮上都市アトランティスへ行くのだから。


 そこでは今朝、テレビでやっていた。全世界最大級のフェス T.W.A.F(ザ・ワールド・アイドル・フェスティバル)2030が開催されている。


 テレビでは、ほとんど観ていなかったが、かなり大きなフェスなのだ。


 そして、なんで一周間後にイカ釣り船に乗るはずの俺が、こんなところにいるのかという疑問は今でも残ったままだった。


「それにしても、海野くん。妹さんも可愛いわね」

「へ? そうか?」

「へへーん!! ニコニコ」

「あら? ほんと笑顔も可愛いわね!」


 妹がニッコリ笑って、ガラステーブルに映る自分の顔を覗いた。


「クスクス……あ、それはそうと、海野くん。ありがとね。一緒にアトランティスへ行ってくれて」

「へ? あ、そうだ! 記憶が蘇ってきたぞ! あんまり色々あるんで、忘れてたーーー! 寝坊して遅刻していた佐江島さんにのこのこついていったら、そのまま飛空船に乗ってしまい。船が突然発進してしまったんだった!!」



 そして、これから俺だけの俺のための推し活生活がはじまった……。

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