第3話 出かける約束
幼馴染の妹が家に来て3日が過ぎた。最低限の会話をするぐらいで、まあ、僕がしっかりと拒絶していた。
「お兄ちゃん、今帰りました。」
幼馴染の妹は僕と謎に話そうとしてくる。意味が分からない。
「…………手を洗ってくださいね。」
無視は流石に出来ないので、少し変な返答をしてしまっていた。
「……はいお兄ちゃんはその、大学とか行かないんですか?」
「休学してるので、てか大学行ってるんですね。」
てっきり、遊びに行っているのかと思った。
「えっ、お兄ちゃんは私をなんだと思ってるの?……」
「いや、少なくとも前にあった時は、勉強なんてしてなかったから。」
幼馴染の妹は、少なくとも昔は勉強をしていなかった。そもそも、何というかもっと自由というか、アホだった。小雪のような見た目や性格では無かったし、寄せてもいなかった。
彼女は、数秒黙って、
「……私は、あの家でお姉ちゃんが死んでからお姉ちゃんの代わりをしてたんです。」
そう小さく呟いた。姉の代わり?だから、見た目や性格を真似していたのか。確かに、学力や素行面においては小雪の方が優秀だった。まあ小雪は妹のことを『明るくて天真爛漫で可愛くて、可愛いんだよ』とか言っていたが、まあ両親はそう思わなかったのかも知れない。それでも、意味が分からない。ただ一つ言えるのは、今までの僕の発言が最低だったってことだ。
「……ごめん」
「大丈夫です。お兄ちゃんが怒るのも無理がないので。」
「無責任ですけど、もっと自由に生きても良いと思いますよ。天真爛漫に。」
「……お兄ちゃんは私にお姉ちゃんの代わりを求めないんですね。」
「違う人ですから、それに小雪の代わりなんていないから。」
代わりがいるなら、こんなに辛くない。小雪が唯一で亡くなったから、こうやって僕は落ち込み続けている。小雪は一人だ。
「……そうですね、そうですよね。お兄ちゃんはそういう人ですね。」
「……」
まあ、少しの間彼女を居候させて良いと思った。
「待ってお兄ちゃん。」
「何ですか?手は洗ってくださいよ。」
「いや、そうじゃなくて、お兄ちゃん出かけませんか?」
「何で?」
「たまには、外の空気を吸うのも必要だし、その私行きたいところがあるんです。」
「……一人で行ってください」
なんで、わざわざ、そこまでする筋合いはない。
「一人で行けないのでお兄ちゃんを誘ってるんです。……お姉ちゃんのお墓参りに行きたいんです。」
……お墓参りか。
「……」
「お願いします。実家では、姉は生きていることになっているので、少なくとも両親はそう思って、私を姉だと接しているので」
そうか、小雪の死を引きずっているのは、僕だけじゃないよな。お墓参りか。
「……いつ行きますか?」
「良いんですか?では、土日のどちらかで、大学無いので。」
「分かりました。車出してもらえるように頼みます」
流石に遠いし、電車やバスとかの公共交通機関は大変だ。
「誰にですか?」
「友達に。」
「…………友達いるんですか?」
「一人や二人いるから、はぁ。まあ、そいつら、小雪の友人だし丁度良いでしょ。」
それに、僕も小雪のお墓参りに行くのは少し緊張する。
「分かりました。」
「では、」
幼馴染の妹と幼馴染に会いに行くことになった。
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