第12話
死んでいる?全く理解できない。ただの冗談だろう。そう思いたかった。終電で遠いところまで行って崖から飛び降りたらしい。体の原型は留まっているものの腕は数メートル先に飛び、足を潰れ、血で赤黒く固まっていた。あのきれいな顔は目の光を失い、顎が潰れていた。これは聞いた話である。想像もしたくない。だって、結宇は死んでないから。ドアを開けたら、また結宇がいつものように笑顔で待ってくれてるから。そう…でしょ?
「彩、目を覚ませ。もう結宇はいないんだよ。もう、受け入れろ」
海斗に言われてもう受け入れるしかなかった。もういないのか。結宇の携帯に遺されていたのは「好きだよ」の四文字。誰に宛てられたものなのか、そもそも人なのか分からない。とりあえず、将輝先輩に依存するしかなかった。
先輩も困惑していた。付き合ってすぐこんなことが起きたんだ。無理もないだろう。それでも優しく支えてくれた。聖母マリアのように。本当に救われた。先輩が彼氏で本当に良かったと思う。彼氏でなくてもこんな対応をしてくれていたんだろう。先輩の真の優しさが私を浄化した。
それから数ヵ月後、少しずつ結宇の辛さが減ってきて、将輝先輩ともいろいろなことをしてたくさん幸せを享受して与えた。少しすれ違うこともあったが、それは私達の関係をより良くするものだった。本当に素晴らしい日々だった。一緒に水族館も行った。たくさん海の生き物について語りあった。あの日々に戻りたいなぁ。でも、悪いことって連鎖して起こるって、よく言うでしょ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます