Scene 06
「あれは……」
まるで
クルスが瞠目するさなか、一瞬にして変形――否、ファントムと同じく別形態へと変身したドライは、ヴリトラが抱く地球に向け飛翔。
背にある
「敵性体による追撃を確認」
二体のファントムから放たれしビームを飛燕のごとくかわし、
「プラズマブレードを形成」
触腕を雷剣へと変質させ、灼眼の輝線を闇に180度ループ、180度ロールにて反転。
「
一瞬にして異形を屠りし闘神の姿に、しばしクルスは我を忘れていたが……。
「なっ!?」
数百メートル先、砂塵を巻き上げ着地した異星体に青ざめ、
「ヒルデリカ、助け――」
超絶的な技量を持つ少女に救援を求める。
なれど、
「どうして……」
虚空に静止したドライは、一向にして動かず、
『見ツケタ……』
単眼の、女型の巨人となりしファントムの
「雪坂クルス。――貴方は試練を乗り越えなければならない」
「ヒルデリカ!?」
「アインと共に、自らの運命を切り開かなければならない」
――運命を切り開く?
彼女はいったい、なにを言っているのだ?
「ヒルデリカ、冗談を言ってる場合じゃ――」
『私タチノ蝶……ヤット見ツケタ』
焦燥に包まれる中、ファントムは右腕を変質させ、
「ぁ、ああ……」
ゆらと向けられた銃口に、クルスが死を悟った直後、
――澪を残したまま、わたしは死ねない。
「ゲ、アアアァーーーーッ!」
聖痕を宿したクルスの咆哮とともに、アインは鋼鉄の巨人へと変貌してゆく。
六つの機眼と、渦巻く触手によって形作られた――
まるで人のようであり、
「超えてみせなさい雪坂クルス。――ヒトの遺伝子の限界を」
ヒルデリカが刮目するさなか、異星体から放たれし終わりの一撃。
「
されど十二の光翼を拡げたアインは、飛来した粒子ビームを捻じ曲げ、
「プラズマブレードを形成。戦術思考を
凛としたクルスの声とともに触腕を雷剣へと変化させる。
刹那、交差するは生と死の
『蝶チョウ、蝶チョウ……コノ指、トマレ』
うねくる触腕を
が、月面に衝撃波が炸裂した直後、
「
冷笑を浮かべたクルスは詩句を返し――胸部に浮かぶ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます