第8話 決着、そして復興にかかる時間わずか・・・

「一人増えた程度でやれる俺じゃネえゾ!」


 相手の声が若干変な感じになっている、しかも体の至るとこからへんな結晶みたいなのが生えてきている。


「なんかヤバそうな予感がするから早めに倒すぞ」

「分かったわ、えーと・・・」

「ソウイチ、俺の名前はソウイチだ」

「覚えたわソウイチ」


 作戦はこうだ。俺が前に出て敵の注意を引き、隙ができたらカエデの強烈な一撃をお見舞い、繰り返せばいずれ倒れる。


「あの女がメんどうダナ、先に潰しておコウ」


 まずいこちらに注意を向けねば。


「2人いるんだぞ?お前の思う通りに事が運ぶと思ったら大間違いだぜ」


「そんなにシニたいなら望み通り潰してやル!!」


 敵はターゲットをカエデから俺に変えた、好都合だ。あいつは俺がたいしてダメージも与えれないことを知っている。おおむね当たっているが、俺が武器を一つだけしか持ち歩いてないとでも?


「!?テメェまだ隠し持ってヤがっテ・・・」


「調子こいて近寄りすぎたな!この距離はこの“武器”が一番光る!」


 俺は懐に手を突っ込み、腕に武器を装備する。


射突式超硬質剛杭しゃとつしきちょうこうしつごうくい!、別名パイルバンカーだ!!」


「サイズ感的に入らないでしょそれ!?」


「杭以外はナノマシンで構成しているからすっぽりしまえるんだよ!」


 この武装ならカッチカチの体にドでかい風穴を開けれる。部位破壊してもすぐに再生、こういう手の敵はそれを壊されると死ぬ「核」みたいなものがある、それは目の前のコイツも一緒だ。さっきから胸あたりへの攻撃はいちいち防いでいたからな。

 つまりコイツの弱点は胸にある、ここまで引き付ければ俺のパイルバンカーで敵の胸を貫くだけの威力は十分に出る!。


「コンナトコデヤラレルカアァァァ!!」


 体中の至るとこから結晶が生え、そろそろ原型をとどめれないくらいまで変化したかつてのアーマード男の胸に装備した右拳を入れ、パイルバンカーで貫いた。


「ガ・・・・コン・・・ナ、ミト・・・・め・・」


 言葉にならない声を発し、結晶の怪物はそのままボロボロと崩れ落ちた。


「勝った・・・・」


「にしてもあの石は一体何なんだ?」


『分からない、だがあの石は星素が大量に含まれていた。あとあの石はこの星のものじゃない』


「それはどういう・・・」


「どうなったのソウイチ!?アイツはどうなった?」


 カエデが走ってこちらに来た。


「ギリギリだった、硬すぎてパイルバンカーの杭が変形している」


「そういやお前、あのへんなサングラス付けた奴は大丈夫だったのか?」


「私は大丈夫、怪しさはマックスだったけど特に何もなかった」


 アマ男の方もだけどあのサングラス男が結構怪しいんだよな、なんというか纏っているオーラ?が他とは違うっていうか・・・。


「でも町が滅茶苦茶に・・・」


「取り敢えず復興作業一緒に手伝うか?」


「そうね」


 それからしばらく、俺たちは町の復興作業を少数の住民と一緒に手伝った。カエデが風の能力を使い、瓦礫をどかしたりしたおかげで思っていたより早く終わった。避難していた住民も帰ってきて、みんな俺達と警備隊の人に感謝していた。いいことするとやっぱスッキリする。


「思ったより早く終わったな、1か月以上はかかると思っていたんだが」


「私のおかげね」


「暴風しか出せないと思っていたが、瓦礫がフワッと浮くくらいの風も出せるんだな」


「伊達に星縦者やってないわよ。それよりも、私としては大人3人がかりで持つ建築資材を一人でほいほいとどうして持てるのかが知りたい」


「よく食べてよく運動してよく寝てれば出来るぞ、だけどアレ補助スーツ中に着てるから持てたんだと思う、あれ着てなかったらよくて2人分くらいまでしか持てない」


「それでも十分怪力よ」


 あれから2週間、街は完全に元通りに戻った。それもこれも本来なら2週間くらいかかる瓦礫どかしを一瞬でカエデが解決してくれたおかげだ、今こうして喫茶店でコーラーっぽい飲み物片手に会話しながら窓の外の景色を眺める、凄くイイ!。


『でもよ、あの"石"の正体はまだ判明してないしあのグラサン野郎がいる謎の組織がある以上油断は禁物だぞ』


 わーってるよ、今はホっと一息つきたい気分。


「そいういえば、カエデはあのグラサンの奴とかこの前のアーマード男とかがいる組織って知ってるのか?」


「各地で暴れているからその存在は知ってるけど、組織名とかは知らない、他の人に聞いても「組織名を名乗らんからわからん」って。噂じゃ北の方にアジトがあるとか」


「変な組織だな、組織名を名乗らない悪の組織。」


 ふと思いついたのでレミニと脳内で会話する。


「なあ、そういえば宇宙船を遠隔で飛ばしたりは出来るのか?」


『普段なら出来るが今は出来ん、ハイパードライブを長時間連続稼働したおかげでエンジン部はかなりダメージを受けてる。それに関しては別にどうとでもなるが、飛行するためのマクスウェル粒子が不足している、この星の星素濃度ならあと2週間ぐらい経てば十分なマクスウェル粒子を星素から抽出することができる。』


「な・・・るほど、じゃあ遠隔で飛ばして上空から敵組織アジト見つけちゃおう作戦はできないか・・・」


 ならやはり一か八かその噂の北へ行くか。


「よし、なら北に行こう」


「へ?」




 

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