天からの落とし物

第7話 追い風

「ハハハハハ！！なんだどうした？さっきまでの勢いはどうしたぁ！？」

「コイツ急に調子に乗り出しやがった！」

　謎の石によって姿形が別のモノになったアマ男・・・いや今は石男か。

「ほらほら避けねぇと体が消し飛ぶぞ！？」

　石男は手のひらから光の球を出し、俺に飛ばしてくる、しかも無数に。

「飛び道具は俺も持ってんだよ」

　石男に照準を合わせ、手に持ってるガンブレードの引き金を引く。

「そんな豆鉄砲俺には届かねえよ」

　ガンブレードから打ち出されたビームは不自然に曲がり石男を避けた。

「でもこのまま跡形もなく消し飛ばすより・・・」

「余裕ブっこいてんじゃねえ！」

　振り下ろしたガンブレードを謎の力で止められ、次の瞬間には民家まで吹き飛ばされていた。

「ゴフッ・・・なんだ今のは・・」

「じんわり嬲り殺す方が幾倍も気持ちがいい」

　そう言うとまた謎の力で俺を持ち上げ別方向に吹き飛ばす。

「・・・ありかよそんなの・・」

　対処のしようがない、こちらが動く前に吹き飛ばされる。

「まだまだ元気だ、次は高いとこから落としてみよう」

『宗一！あの念動力みたいなやつを防ぐ方法が分かったぞ！』

『アレは星素（エレメンタ）で形成する見えない手だ。だからあいつが手をかざす瞬間に避けろ』

「なるほどな、サンキューなレミニ」

「まずは10メートルからだ」

　アイツが俺に向けて手をかざした、今だ！

「な！？」

　成功だ、タネが分かればこっちのもんよ。

「俺の念動力を避けただと！？」

　踏み込み、一気に距離を詰める。

「忘れてねぇか？俺の武器は念動力だけじゃねえ！」

　目の前に光球が3つ現れる。

「知ってるよ」

　俺は石男の後ろに回り込む。

『隙間に刺せ！宗一』

「あいよ！」

　背中の可動部分の隙間にガンブレードを刺しこむ。石男の体は変身するときに近くにあったスーツごと取り込んでるから見た目はスタイリッシュなスーツを着たような見た目になってる。

「ごアア・・・て、テメェ・・・」

「遊ばずにさっさと殺しとくべきだったな」

　深く刺したガンブレードを引き抜く、血が流れないことが彼が人間でなくなったことを証明している。

「俺はもう人間じゃねぇ、だからこんな攻撃効かねえんだよ！！」

　直後、石男は自身の周りを吹き飛ばす衝撃波を放ち、俺はそれをモロに受けた。

「さっきので素直に終れよ・・・」

「石が・・・隕石が・・・俺に力をくれる！！」

　石男の体がさらに鋭く変形する、大きさも一回りデカくなった。

「これは・・・俺の火力じゃ無理だな・・・」

『今なら少し時間がある、生存確率を上げるためにちょっとお前の”眼”をいじるぞ。』

「は！？こんな時に訳の分からんことをするｎ・・」

　一瞬視界が真っ暗になったがすぐに戻った。

「レミニ、何をした？」

『視覚を司る部分をちょっといじって星素の流れを視えるようにした、これでさっきみたいな見えない攻撃は視えるようになったぞ』

　そう言われたので石男の方を見ると、さっきとは明らかに違うものが見える。具体的には極小の粒子が束になって石男の周りを回りながら漂っている感じ。

「ほんとだ、これで戦いやすくなったぞ。サンキューな」

『いいってことよ、まだ旅は始まったばかりだしな！』

　再びガンブレードを構える。

「さっきまでの俺とは一味も二味も違うぜ？」

「なに意味の分からねえことばっかり喋ってんだ？雑魚は雑魚らしく潰れてろ！」

　そう言うと石男の周りに漂っている粒子が集まり、手の形になってこちらに向かってくる。

「”視えてる”んだよ！その手は！」

　手の攻撃を避ける、続いて攻撃をしてきたがそれも避け、石男の腕を切り落とす。

「面倒な・・・ッツ！！・・・」

　石男が突然頭を抱えた。

「・・・うるせぇ・・・うるせぇんだよ！さっきから！誰だ！？俺の頭に話しかけてくる野郎は！！」

　石男が突然訳の分からないことを喚きだす。どうやら彼にしか聞こえていないらしい。

「俺の頭の中から出ていけぇぇぇぇ！！！！！」

　すると石男の周りの粒子が集まるのではなく数個に分散し、そこらの瓦礫を持ち上げ石男の頭上へと運び、別の物質に”変異”させている。

『おいおいおい・・・これは落ちたらただじゃ済まねぇぞ・・・』

　どうする？今の俺にあの巨大な物体を破壊する手段、力はない。

「消えろよ、俺の前から」

　石男の頭上の巨岩がこちらに向かって落ちてくる。

「クソ・・・ここまでか・・・」

『いや、案外そうでもないぞ』

「え？」

　風が吹く、徐々に強くなってくる。

「これどうなってんの！？」

　そう言いながら飛んできたのは俺がクソまず果物を食べさせた少女でもあり、風を操る星縦者（エレメンタリア）カエデ・ルリリアだ。

「穿て！」

　カエデは剣を右手に持ち、風を集約させると、巨岩の方向へと絞って解き放った。解き放たれた風は槍のように巨岩へと突き刺さり、砕けた。

「来てくれたのか！？」

「勘違いしないで、これはあくまで町のためだから」

「素直じゃねえな」

「うるさい！とにかく今はコイツを何とかするわよ！」

「ああ、分かってる」

　さぁ、反撃開始だ。