第6話 石の力、そうゆうお年頃?
「お前、今からどうなると思う?」
町を荒らしまわっている彼らの任務は2つ。
1つ・指定の町の破壊。
2つ・任務に失敗した者の処刑。
「待ってくれ!俺はまだやれる、あのスーツがどこにあるのかも知ってる!スーツを回収するまで処刑は待ってくれ!!」
アーマードスーツを装備した男はため息を吐きながら。
「あのスーツ誰が作ったか知ってて言ってる?場所くらい内蔵の発信機で丸わかりだっつーの」
「生き延びたい一心で嘘をついたか、スーツを使って一か八か俺を殺ろうとしたか・・・。まぁどっちでもいいや」
そう言い鎧男は銃口を向ける。
「待ってくれ!!嫌だ!俺はやれる、相手が悪かったんだ!」
『わめくだけの雑魚・・・使えない・・・。』
「そ、それは・・・」
「録音機能も付けてたんだけど・・・別人かな?雑魚雑魚言ってる割には命乞いとかするし」
「ホントに頼む!次は必ずうまくやる!絶対だ!俺にもう一度チャンスをくれ!!」
男は小便を漏らし、鼻水と涙でぐちゃぐちゃになった顔で土下座をした。
「・・・じゃあ無様なお前にチャンスをやる」
そう言うと男は自分の装備していた身の丈の3倍はあるスーツから降りた。
「コレを使ってお前を倒した奴を倒してみろ、負けたら死ね」
そう言い部下を引き連れて去って行った。
「隊長、よろしかったんですか?処刑どころかあなたのスーツまで奴にあげてしまって」
「いいよ。スーツに依存するのは3流、スーツが依存するのが1流、どうせまたすぐに会えるよ」
アーマードスーツを装備した一団は町の中心へと向かっていった。
「お前!ここが人の住んでる町ってのは知ってんのか!?」
「知ってるよ、見りゃわかんじゃん」
俺達は今、目の前のアマ男集団を従えている奴と対峙している。
「ならなんで・・・町をこんなにして胸が痛まないのかよ!」
「情に訴えかけても無駄だよ、これも全てこの星を救うためだ」
イカれてやがる・・・。
『宗一!2秒以内にその場所からカエデを連れて逃げろ!』
レミニの警告、俺はカエデを掴みその場を離れる。次の瞬間、さっきまでいた場所が爆発する。
「ッチ!、外した」
「もし僕に当たったらどうするつもりだったんだい?」
「あんたに飛び道具は効かねえ、そうだろ?」
あの声は・・・まさかアマ男!?
「それじゃここは君に任せた、チャンスを物にするんだよ」
そう言い、男はその場から去っていく。
「カエデ、お前はあの男を追いかけろ!アマ男は俺がやる!」
「わかった」
俺がアマ男、カエデが謎男、役割分担で町を守る。
「簡単に行かせると思ってんのか!?」
カエデの方に伸ばしたアームを咄嗟に弾く。
「お前の相手は俺だ!」
「丁度いい、この新スーツでお前を焼く前のハンバーグにしてやる!」
普通にミンチでいいだろ。咄嗟に出そうになった突っ込みをなんとか飲み込み、戦闘を開始する。
「何が目的だ!?お前たちは何なんだ!?」
一人の警備兵が狼狽しながら問いかける。
「任務でここを落とす、あと逃げるなら今のうちだぞ、その体じゃ次の攻撃で死ぬよ」
脅すように右手に装備している武器を構える。しかし、警備兵は立ち上がった。
「・・・この町を守る、それが俺の任務だ・・・かかってこい!!」
彼は恐怖を勇気で塗り替え、己を奮い立たせる。
「はぁ・・・心が痛むよ、できれば逃げてほしかったんだけど・・・」
そう言い構えていた武器で焼き払ったが、居ない。
「速いね、結構距離放したつもりだったんだけど」
「この町から立ち去って下さい、さもないと」
そう言い剣を構え、風を纏う。無風だったのが今この場所限定で嵐のような風が吹き荒れている。
「あなたの体が二つになるかもしれません」
風に乗り、剣を前に突き出し警告する。
「怖いけどその提案には乗らない、君を無力化、または殺す」
強風の中、左手にも武器を装備、準備万端のようだ。
「「勝負!!」」
一方その頃、宗一はアマ男Var2.0 に苦戦していた。
「その火炎放射機の進化系みたいなのなんだよ!?」
アマ男の両腕からとんでもない勢いで炎が吹き出ている。
「このスーツすげぇぜ!、コイツが炭になるのも時間の問題だな!」
そう言い両腕を無差別に振り合わしている、その炎の出力は民家を軽く両断する程だ。
『クソ・・・動きに法則性が・・・・予測できん!』
レミニに頼ることができないこの状況、かなり不味い。
俺は神経を研ぎ澄まし、紙一重で炎をギリギリ躱す。
「相変わらずスルスルと避けやがって・・・ならば逃げ道をなくす!」
アマ男が両腕を前に出し、構えた。俺は直感を信じ、前に走った。
おそらくあの火炎放射、民家を両断できるほどの火力を持っているがおそらく本来の使い方ではない気がする。
収束による威力の上昇、そして。
「焼け死にやがれ!!」
アマ男の両腕からとてつもないサイズの炎が放射される。
拡散による制圧、どっちにしろ当たれば焼け死ぬ。
『あっ!しまった!!』
「どうした!?レミニ?」
一体レミニに何が起きた!?エラーか?。
『・・・宗一』
「どうした?あまり長く話す余裕はないから手短にな」
『お前が着ている「汎用活動補助スマートスーツ」、運動補助の機能を作動させてなかった』
「え」
っていうことは今までほぼ素の状態でやってたのか?いやなんかおかしいとは思っていたんだ、けど活動「補助」ってあるからそこまでパワーはアップしないと思っていたから気づかなかった。
『・・・・今機能をONにした、これでパワーアップだ!』
!?
「なんだこれ・・・体がアホみたいに軽いぞ!! 武器もオモチャ持ってるみたいだ!!」
「テメェさっきから何独りでブツクサ喋ってんだ!?なめてんのか!?」
「ごめん、続けよう」
今の状態なら勝てる。
「今度こそ焼け死にやがれ!!」
アマ男が構えると同時に俺は走りだす。
「それはさっき見・・・」
いや待て、こんなに速いのか。セリフが追いつかんぞこれは。
戸惑いながらもアマ男の右腕を破壊する。
「ッ!?テメェ隠してやがったな!卑怯だ!」
「知らん、今すぐおとなしくしろそのスーツを脱げ、さもないと右足から順番に撃つ」
「わ、分かった、おとなしく従う。 だから武器を降ろしてくれ・・・」
アマ男がスーツから出る。
「分かればよろしい、それじゃ落ちてたこの鎖でガッチリ縛るからおとなしくしろ」
そうして鎖で完全に縛り、相手が動けないことを確認し、その場を立ち去ろうとした時だ。
「俺たちの組織はな、事前にボスからとある石を貰うんだ」
アマ男が続けて喋る。
「俺は使ったことはないが、使ったやつを見たことがある。石の鋭利な部分を体に刺す、又は斬りつけることがトリガーだ」
「何の話だ?」
「もっと腕をきつく縛っておくんだったな!」
アマ男は鎖の隙間から腕を出し、変な石を取り出して腕に刺した。
「おまっ・・何してんだ!?つらいのはわかるが自分を傷つけてもなんにもならねぇぞ!」
「別にただ自傷行為をしたわけじゃない、この石の力で俺は人間を超える!」
次の瞬間、アマ男が見えなくなるほどの光が辺り一帯を照らす。
「一体何がどうなってんだ!?」
眩しい光が消え、目の前にいたのは。
「これが『石』の力・・・力が際限なく湧き出る!!」
人ではないヤバそうなナニカだ。
その頃、カエデと謎男は石の力によるとてつもない光を遠くから確認していた。
「行かなくていいの?このままじゃ彼、死ぬよ?」
「・・・・・」
「別に嘘はついてないよ。彼は星縦者ではない、相手は星縦者と同格、もしくはそれ以上の力を持っているからね」
「・・・命拾いしたわね」
そう言うとカエデは風に乗り、光があった場所へと飛んでいく。
「・・・見た感じ星縦者になってまだ日が浅い・・・末恐ろしいな」
謎の男はその場から立ち去った。周辺は瓦礫一つなかった。
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