第4話 秘策の青
「お前は左から、俺は右からアイツをやる」
「おう、まかせろ」
槍を持った悪党がジリジリと近づいてくる。俺は懐からとある武器を取り出す。
『使い方はわかるな?』
俺が取り出した武器は剣と銃が合体している武器、『ガンブレード』だ。この武器は剣の柄の方に光線銃の機構を組み込んであり、近距離は剣として、遠距離は光線銃として使い分けることができる。だけどそれだけじゃ心もとないから懐に光線銃もしまってある。
「剣と槍じゃリーチが違うぜ? このままめった刺しにしてやる」
二人が勢いよく踏み込む。俺はまず右側の奴の足を狙って、撃つ。
「!? がぁぁあああ!! あ、足がああ・・・」
右足の膝辺りに風穴が空いた。
『初めてにしちゃ上出来だな』
「もっと褒めてくれてもいいんじゃないか?」
『調子に乗るから駄目だ』
もう一人が撃たれた方に駆け寄り。
「おい!大丈夫か!?。テメェ! ズルだ!!こんなの!!」
凄い表情でこちらを見る。ズルと言われても・・・あのままじゃやられてたし・・・。
返事に困っていると、アーマードスーツを着た男がサッと二人の首を切り落とした。
「わめくだけの雑魚・・・使えない・・・」
こいつ今仲間を・・・・。
「おい、そいつらはあんたの仲間じゃねえのか!?」
俺の質問にアマ男(アーマードスーツ男)は答える。
「クソの役にも立たん奴は仲間ではない、ただの足枷だ」
そう言うと、アマ男は右腕からはゴツいブレード、左腕からは光線銃のライフル版『ビーム・ブラスター』のような物を出し、構える。
『宗一、ここからは一つのミスが死に繋がる。全力でサポートするからとにかく立ち止まるな』
『2秒後、右にステップ』
言われた通りに動く、するとほぼ同時にアマ男左腕のビーム・ブラスターが通り過ぎる。
「お前こんな能力隠し持ってたのか!?」
『また後でだ。次、前に突っ込め』
言葉と同時にアマ男に向かって走る。
『次、1秒後にしゃがめ』
しゃがむと上をアマ男の右腕のゴツいブレードが轟音を立てながら通る。
『次、相手の右脇腹の装甲の隙間に攻撃』
アマ男の装甲はとても硬い、だから装甲の隙間にガンブレードで攻撃。
『次、左腕関節部分の隙間に刺突、そしてそのまま引き金を引け』
ガンブレードは剣と銃両方の利点を持つ。だから剣で刺した後に撃つなんてことができる。俺はアマ男の左腕関節部分の装甲の隙間に武器を刺し、そして引き金を引いた。
ガンブレードに組み込んである光線銃により、アマ男は左腕が吹っ飛んだ。
「・・・なかなかやるな小僧。だが俺から遠距離攻撃の手段を奪ったつもりか?」
「何!?」
『宗一! 急いでアイツの懐に潜り込め!!』
俺は言われた通りアマ男に向かってダッシュする。アマ男の右腕が変形、ブレードから数本の筒が円形に連なった独特の形、ミニガンだ。
「ミンチになるがいい!」
「させるかぁ!!」
俺はスライディングで滑り込み、アマ男の右腕の装甲の隙間に沿ってガンブレードで力強く斬りつけた。
ミニガンは最初勢いよく回転していたがやがて回転がなくなっていく、そしてアマ男の右腕が切れ、地面にずしんと落ちる。
「もう攻撃手段は無いはずだ、おとなしく縄に着くんだな」
「・・・・いや、まだだ」
アマ男が何かをしようとした次の瞬間、アマ男は吹っ飛ばされていた。突風?。
「ヘッドはこれでよし。あとは・・・・」
風と共に現れた少女はこちらに振り向くと。
『宗一!!防げ!』
とっさに武器で防ごうとしたが、とてつもない力で吹っ飛ばされる。
「あなたもヘッドの取り巻きね」
「へ?・・・いやちょっと待て!俺は・・・」
言い切る前にまた吹っ飛ばされる。
「悪党、許さない・・・」
少女は腰から剣を取り出す、形はレイピアのようなものだ。
「はぁぁ・・・」
少女の周りに風が吹き荒れ始める。まさかこれは・・・。
「レミニ、これまさか・・・」
『ああ、変化した
「ああ、ちゃんと別称もあったんだ」
『それよりも、相手はよりにもよって風の星縦者だ。厄介な相手だが説得できそうか?』
「・・・行けるとこまでやってみる。」
俺は武器を構え、戦闘態勢に。
「吹き飛ばされろ!!」
そう言うと同時に少女を中心に凄い勢いで風が吹き出る。吹き飛ばされそうだ。
「うおおおお・・・!!」
一体どういう原理だ!? その場にとどまるので精一杯だ。
「・・ふん!」
よし、一歩進んだ、もう一歩・・・。ふと風がやみ、バランスを少し崩す。と、同時に少女が攻撃を仕掛けてくる。
「どうして街を襲ったんですか!?」
武器で防ぎそのまま鍔迫り合いに移行。
「だから違うって言ってんだろ!」
話を聞いてくれそうにない、一回落ち着かせる必要があるけど勝てそうにない、どうすれば・・・。
ふと奥に置いてある荷台に目がいった。おそらくヘッドの部下の荷物担当が荷物ほっぽり出して逃げたのだろう。
勝機が見えた、これなら何とかなる。
「うおおおお!」
少女の剣を押しのけ荷台に向かった。
「・・・・よし、後は・・」
「何をしても無駄です!いい加減にしてください」
少女は風を纏い、凄まじい勢いで剣を構えながらこちらに向かってくる。
集中しろ・・・。まだ・・・・もっと引き付けて・・・ここ!!。
少女から放たれる風を纏った豪速の突きを寸前で躱し、いい感じの大きさにカットしておいたある果物を少女の口に突っ込み、吐き出さないように手で蓋をした。
「これでも食らえぇ!!!」
「!?ンー---!!」
すかさず足を払って体制を崩し、抵抗できないようにする。
「ムググ・・・ンーンー!!ン・・・・・」
ゴクン・・・。
一瞬体が硬直し、そして力を失った。
俺が女の子に食べさせたのはリンゴの甘さにピーマンの苦さ、そして舌を刺すような辛さが同時に襲ってくる果物『ビアニカ』だ、女の子の舌には刺激が強すぎたのか少女は体をピクピク言わせながら気を失っている。
アレ? 今この絵面を誰かに見られたら間違いなく悪いのは100:0で俺になる。
「おいあんた、ヘッドはどうなった・・・・・・」
住民と目が合う、4秒くらいこちらを見て。
「変質者が現れたぞー----!!!!!」
「ちょっと待ってくれ! 誤解だ!!」
俺はこの後警備隊に連行された。
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