第3話アメンヤⅦ 着陸
『あと10キロ!! いいぞ! ペース上がってるよ!!』
「ふっ、ふっ、フー!」
地球を出て一か月、ここんとこトレーニングしっぱなしだ。朝はランニング20キロ(ランニングマシーン)、昼からは筋トレ&反射神経トレーニング。
『旅立つ前とは別物だな! 全体的にゴツくなってる、背も少し伸びてるし・・・・178くらいか?』
伸びすぎだ、流石にこの短期間でそんなに伸びるわけないだろ。
『測定中・・・・179cm、ほぼ180』
「うそでしょ」
そんなことがあり得るのか!? 信じられないけど、コイツがいうから間違いは何だよな・・・。
『・・・そうだな、体は十分にできたから、とりあえず射撃訓練でもするか』
そうして俺は宇宙船にある射撃訓練室に行く。
『他の星じゃ何が起きても不思議じゃないからな、今のうちにある程度は上手く扱えるようにしないとな』
手前のカウンターに見たことない拳銃らしきものがある。
『それは光線銃だな、地球にある銃器とは違って反動はほぼないぞ』
『あそこの的に向かって撃つんだ、慣れるまではなかなか当たらないぞ』
試しに一発撃ってみた、引き金を引いた瞬間銃口が青く発光し、的の横に焦げ跡が付いた。
『初めてにしちゃ筋がいいな、焦げ跡は気にすんな、すぐに消えるから。』
それから3週間は体力トレーニングと射撃訓練をしながら過ごした。途中木星やら海王星、冥王星とかが見えてかなり感動した。
あとの一週間はトレーニングダミーを使った本格的な戦闘訓練をみっちりとこなした。そしてもうすぐスキレド暗星雲群が見え始める頃だ。
『スキレド暗星雲群が近い、したがってこれよりマクスウェル粒子纏航エンジン・ハイパー・ドライブモードに移行する。安心しろ、最短距離で抜けれる道を見つけたからな』
『船内の重要箇所以外の電力供給をカット、粒子纏航エンジンへの電力集中、マクスウェル粒子纏航エンジン、ハイパー・ドライブに必要な電力残り0%』
船内の照明が消える。
『ハイパー・ドライブモード移行、発進まで5・4・3・2・1・・・』
『0!発進!!』
今まで聞いたことも無いような音がエンジン室の方から聞こえてきた。
『気にすんな、今回はハイパー・ドライブモードでの航行がいつも以上に長いだけだから』
ハイパー・ドライブモードでスキレド暗星雲群に突入してから5時間が経過。
『そろそろスキレド暗星雲群から出るぞ。出たらとりあえず近くの星に着陸する。流石にエンジンに負荷が掛かり過ぎたからしばらく休ませる』
「分かった、ちなみに着陸する星はどういうところなんだ?」
『ラテラナ星系アメンヤⅦって名前だ。
着陸する星が見えてきた、確かに星表面がモヤモヤしている。
『そうこう言ってるうちにもう目の前だ、着陸に備えろ』
船内がガタガタと揺れる、窓の外を見ると空気摩擦で赤いものが見える。
『逆噴射!!』
ブースターによる逆噴射によって緩やかな着地にすることができた。
「そう言えばお前はどうするんだ?」
AIで実体を持ってないこいつは一緒に来ることができない。
『大丈夫だ、もう手は打ってある』
『地球で付けさせた翻訳機あるだろ? あれにちょっと手を加えて通信できるようにしたんだ』
翻訳機・・・ああ、あの首に刺したやつか。
『エンジンを休ませるのに1週間くらいかかるから適当に楽しんで来い』
「それは別にいいけど金銭はどうする?」
『前渡したデバイスに振り込んどいた! 宇宙船歴がなげぇ俺をなめんなよ』
確認してみると結構な額が入ってる、慎重に使わないと。
「ああそう言えば俺、お前のあだ名考えてたんだよ!」
この二か月結構考えてたあだ名だ。
『・・・聞かせてもらおう』
「・・・『レミニ』・・・地球のAIの名前のアレンジだ」
『レミニ・・・・気に入った!!』
レミニは嬉しそうだ。
『よし! 確認だ!護身用の武器は持ったか!?』
「あるぞ!」
武器を高らかに持ち上げる。
『よし! ハンカチ持ったか!?』
「ある!」
『よし! パンツ履いてるか!?』
「履いとるわ!!」
『元気があって大変よろしい! では行ってこい!』
船の扉が開き、風が入ってくる。
「・・・・すげぇ・・・」
風は心地よく、空気は澄んでいる。空はとても綺麗で・・・ああ言葉が思いつかない。
「なんかさっきから少しピリピリするな、それに」
『それは
レミニが言うには、
「つまり超能力ってこと?」
『まぁそういう感じになるな、万が一にもそういうやつらとはやりあうなよ。確実に負けるから』
「わかった」
暫く歩いてると、町の入り口と思われるところに着いた。付近はゴミが結構落ちてたり、入り口にあったと思われる看板も剝がれている。
「なぁ、ここ雰囲気やばいぞ・・・大丈夫か?」
『おかしいな・・・前に来たときはこんな荒野じゃなかったはず・・・』
「どういうことだ?」
『前に一度この星に降りたことがあったんだが、その時はもう少し暖かかったし、こんなに荒れてなかった』
「地域ごとに環境が違うだけじゃない?」
『いや、ここは地球でいうとこの赤道に近い場所だ、恒星との距離も正常だだが気温は15度。この星で何があった?』
『宗一、暫くここにとどまることになりそうだが大丈夫か?』
レミニはこの星の急激な環境変化が気になって仕方がないようだ。俺はもちろん。
「大丈夫だ、むしろこういうのを待ってたまである」
『よし、じゃあまずは泊まれそうなとこ探すぞ、記録が正しければ1キロくらい先に宿があったはず』
そうして俺たちは町に入る。とても賑わっていてなんだか懐かしい気分になった。
「あんた、あまり見ねえ顔だな。旅の土産に買ってくか?」
声を掛けてきたのは果物屋?の店主らしき人だ。
俺は店に並んでいる果物からリンゴに似た果物を選んだ。
「ほー、『ビアニア』を選ぶとは・・・通だねお客さん。200Cだよ」
俺はレミニからもらったデバイス(スマホ)で決済をしてその果物を買った。
「水色のリンゴみたいな感じか、味はどうか・・・・」
俺は果物を一齧りした。
「ッ!!?? なんだこれ!? 甘いと苦いと辛いが同時に!?」
それはリンゴの甘さにピーマンの苦さ、そして舌を刺すような辛さが襲う。俺は耐えられずにその場で悶絶。
「・・・あーなんというか、忠告するべきだった・・・」
俺はなんとか立ち上がり残りを一気に食べ、果物屋の店主に。
「この中で一番フレッシュで甘い果物を一つ!」
「お、おう。じゃあこの『バンバジリ』なんてどうだ?」
「買った!! いくらだ?」
「220Cだ」
俺は迷わず素早く決済をすまし、その『バンバジリ』とやらの身を口に放り込む。
「!!」
そのブドウのような果物はとても甘く、口の中で弾け、溢れんばかりの果汁ビアニアの混沌とした味を洗い流してくれた。
「・・・おいアンタ大丈夫か!?」
「・・・コレすげぇ美味い・・・」
あまりの美味さに自然と涙が出た。俺たちは果物屋を後にした。
それから10分くらい歩いていると。なにやら町の人たちの様子がおかしい、家に急いで逃げ込む親子、突如店を閉める店員。
「『ヘッド』が来る!! 早く建物の中に逃げろ!」
「おい、アンタも早くここから逃げろ!」
「どういうことだ? なんかあったのか?」
そう聞くと住民が。
「『ヘッド』がついにここに目を付けたんだ・・・」
ヘッドってなんだ? そう考えていると重い足音が遠くから聞こえてくる。
「ああ不味いもうここまで来た」
そう言うとそいつは建物に入り鍵をした。
『なんかヤバそうだな、いつでも戦えるようにしておけ。』
道の奥から4つの人影が見えた。3人は人の形をしているが、1人はなんか異様にゴツイ。
『不味いな、アーマードスーツだ』
「なんだアーマードスーツって、赤と金のアイツ? それとも青と赤のやつ?」
『まあそんなところだ、だけど正義の味方じゃねえぞ』
見えてきた。3人の内の一人は荷台を引っ張っている、そして後の2人は槍みたいなのを持っている。そして1人ゴツイスーツを着ているボスっぽい奴が一人。
「ヘッド、なんか一人だけ突っ立ってます、どうしますか?」
「・・・・殺れ、大方正義の味方面した奴だ」
2人が武器を構えてこちらに来る。俺も懐から武器を取り出す。
『実戦は初めてだが行けそうか?』
俺は武器を構え。
「ああ、問題はない!」
そう言い前へと進む。
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