第2話 いざ、未知の世界へ

 昨日はあれから一睡もできなかった。ここ数年分の情報が昨日の一日に圧縮されて、それを直接ぶち込まれた感じ。


 時計は朝の7時18分のところを指している。そろそろばあちゃんが朝ごはんを作り始める時間だ。


「宇宙かぁ・・・・」


 昔から憧れはあった、昔は俺も子供だったから「宇宙には他にも地球のような星があって、自由に行き来出来る」って本気で信じていたくらいだ。ちょうどその頃に星を見るのにハマりだしたんだっけ、まぁ真実を知った後、星を見るのをやめるなんて考えすでになかったし。

 純粋に星を見るのが好きになってたんだ。


「宗一、ご飯できたから降りといで」


「はーい」


 朝ごはんは焼き鮭に味噌汁、ごはんに漬物。どれもうまそうだ。


「うん!うめぇ!!」


「そりぁよかった!腹いっぱい食べな!」


「こんなうめぇ魚は久しぶりだ!」


 朝食を終えた俺はひとまず昨日の場所に向かうことにした。



『おお、もう出発するのか?』


「いや、出発は夜にしよう、そっちの方がテンションが上がる」


『なるほど、分かった。じゃあ夜の21時くらいに集合な』


 俺が立ち去ろうとすると。


『ああ、ちょっと待ち』


「どうした?」


『これから宇宙を旅するわけだし色んな知らない言語が出てくるから・・・』


 船の中の引き出しが開いた、中に何かある。


『コレを首のうなじ辺りにつけてくれ、コレを付けたらその言語の問題は全て解決する、あと少し俺がアレンジを加えた物だ』


 大きさはゲームのカセットくらいの大きさだ。俺は言われた通りにうなじ辺りに付ける、すると。


「!?痛っ!」


 少し痛みを感じたがすぐに収まった。


『要件はそれだけだ、そんじゃまた夜に集合』


 ひとまず解散した。



 魚釣りをしよう、ふと急に思いついた。家から釣り道具を持ってきて近くの人気ひとけの少ない川で釣りをする。


 暫く待つこと15分、釣り竿に確かな重み。


「かかった!!」


 俺と魚の激しい攻防戦が繰り広げられ・・・・・・なかった。

 

 すぐに魚はどっかに行ってしまった。


「・・・・帰るか・・・」


 ばあちゃんにもそれとなく伝えとかないと。


 家に戻るとばあちゃんは昼ご飯を作っている最中だった。


「あと少しでご飯ができるから待ってなさい」


 昼はだし巻き卵に小魚のフライ。相変わらず旨い。


「・・・・なにかばあちゃんに話すことでもあるんだろ?」


 ばあちゃんの予想もしない言葉に動揺を隠せないでいると。


「今のあんたの”目”は子供の頃のあんたと同じ目をしている。未知への好奇心が抑えられず、今にも目から溢れそうなほどに輝いている」


「覚えてる? あんたが子供の頃、「宇宙には他にも人が住んでいる星がいくつもある」って言ってたあんたに真実を教えちまった。今でも後悔している」


「・・・・・・」


「あんたのためを思っての行動だった。だけどその日からあんたの目は輝きが失われていた。奪ってしまったんだ、あたしは。」


「ばあちゃん・・・」


「宗一、本当にすまない」


 そう言っておばあちゃんは頭を下げた。


「謝らなくていいよ、ばあちゃん」


 そう言うとばあちゃんは顔を上げ。


「・・・永い旅に出る顔をしてる・・・」


「・・・なんでわかるの・・・」


「あたしはお前のばあちゃんだぞ、孫の考えてることなんざ顔を見りゃ一発よ」


 そして時間は過ぎ、ついに出発の時間がやって来た。俺は荷物をまとめて玄関で靴を履いている途中だ。


「宗一」


 振り向くとばあちゃんがいた。


「これ持っていきな」


 そう言ってばあちゃんは俺にお守りをくれた。


「ばあちゃん・・・ありがとう」


「風邪ひくなよ、気を付けて」


「・・・・・行ってきます・・」


 ばあちゃんは笑顔で見送ってくれた。


 現在の時刻は19時55分、いまから歩けば丁度着く。


『時間通りだな、ん? なんか目赤いぞ、大丈夫か?』


 俺は答える。


「ああ大丈夫だ、花粉かな?」


 それを聞くと少し笑いながら。


『そうか、ならさっそく出発だ。』


 俺は宇宙船に乗り込む。


『あ、そうだ。宗一、コレを』


 そう言って渡されたのは・・・ウェットスーツ?


『それは”活動補助スマートスーツ”って言って、中に液体金属が入っててな、動きをサポートしてくれるし温度も調節してくれるんだ。サイズも自動で調節してくれて便利だぞ』


 さっそく下着の上から着る。すると自動で体に完全フィットした。


「う、動きやすい・・・、しかも筋力が上がったような感じがする」


『いまから2か月かけてこの宙域の端『スキレド暗星雲』まで行く、その間にお前にはトレーニングをしてもらう』


「なるほど、旅の途中で襲われたとしても自分の身は自分で守れるようにか」


『その通りだ。スキレド暗星雲付近に着いたら『ハイパー・ドライブ』を起動して暗星雲を一気に突き抜ける、これで無事に抜け出せる』


 どうやら俺達が住んでいる太陽系は『スキレド暗星雲群』というので外からでは中の様子が探知できないそう、マジックミラーみたいな感じだ。


『準備はいいか? 離陸する!』


 操縦席のモニターが点く、画面は結構揺れているが船内はまったくと言っていいほど揺れてない。


「宇宙船ってすげえな」


『だろ? もうすぐ地球をでる。そしたらしばらくしなくてもよくなる』


 結構なスピードで天にむかって飛んで行く。そして大気圏を突破した、俺は思わずおおお!と言ってしまった。少し笑われた。


 船内には外の景色を見える窓のようなものが複数ある。そこから地球が見えた、思わず。


「地球は青かった・・」


 俺たちが普段ネットの画像で見る青よりも綺麗な青だった。



  


 

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